◇SH0897◇実学・企業法務(第5回) 齋藤憲道(2016/11/28)

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実学・企業法務(第5回)

第1章 企業の一生

同志社大学法学部

企業法務教育スーパーバイザー

齋 藤 憲 道

1. 株式会社の設立(日本)

 株式会社の設立は、①定款の作成(発起人が定款を作成し、公証人がその定款を認証する)、②資本金払込・設立時役員等の選任その他の会社の実体形成、③法務局で設立登記、の3つの手続きを経て行われる。

 また、会社設立後、事業を行うために、④さまざまな行政に対する許認可取得申請や届出が必要である。

(1) 定款の作成

 会社設立当初の定款(いわゆる原始定款[1])には、次のA、B、Cの事項を記載する。

  1. A) 絶対的記載事項
    定款には、次の①~⑤の事項の記載が義務付けられている(会社法27条[2])。
    また、株式会社の成立(登記)時までに⑥を定めなければならず、原始定款にこの規定がない場合は、発起人全員の同意で定款変更していなければ、登記が受け付けられない(会社法37条1項)。
    ①目的、②商号、③本店の所在地、④設立に際して出資される財産の価額(又はその最低額)、⑤発起人の氏名(又は名称)及び住所、⑥発行可能株式総数
  2. B) 相対的記載事項
    会社法の規定により、定款に定めがなければその効力を生じない事項である。
    この記載がなくても、定款自体は有効である。
    (例) 現物出資財産(28条1号)、存続期間又は解散の事由(471条1号、2号)、発行する株式の内容(107条2項)、単元株式数(188条1項)、株券発行会社である旨(214条)、株主名簿管理人の名称・住所及び営業所(123条)、取締役会設置会社である旨・会計参与設置会社である旨・監査役設置会社である旨・監査役会設置会社である旨・会計監査人設置会社である旨・監査等委員会又は指名委員会等設置会社である旨(326条2項)、役員等の責任の免除についての定め(426条)、社外役員等の責任限定契約についての定め(427条)、公告方法(939条1項)、電子公告によるとしたときの事故等の場合の予備的公告方法(939条1項、3項)
  3. C) 任意的記載事項
    上記の「A) 絶対的記載事項」、「B) 相対的記載事項」以外の事項で、会社法の規定に違反しない事項を記載することができる。

 なお、株式会社の設立登記では、資本金の額・発行可能株式総数・新株予約権を発行した場合の所定事項・取締役の氏名・代表取締役の氏名及び住所等、会社法911条3項1号~29号に定める事項を登記すべきことが義務付けられている[3]ので、定款に記載がない登記の必須事項については、発起人全員の同意又は創立総会の決議による定款変更等によりこれを定めておく必要がある。



[1] 会社設立後に、必要に応じて、株主総会の決議により定款変更が行われる(会社法466条、309条2項11号)。

[2] 持分会社(合名会社、合資会社、合同会社)については会社法576条の規定による。

[3] 商業登記規則別表第五は、株式会社登記簿の構成(区)及びそれぞれの区に記録すべき事項を定めている。

 

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