◇SH1019◇個人情報保護委、法23条2項に基づくオプトアウト手続による個人データの第三者提供届出手続の概要を公表 工藤良平(2017/02/15)

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個人情報保護委員会、法23条2項に基づく
オプトアウトによる第三者提供の届出の手続概要を公表

岩田合同法律事務所

弁護士 工 藤 良 平

 

 個人情報保護委員会は、改正後の個人情報保護法(以下「改正法」という)23条2項に基づくオプトアウト手続によって個人データを第三者提供しようとする者を対象とした、第三者提供届出(以下「本届出」という)手続の概要を公表した。

 現行の個人情報保護法(以下「現行法」という)23条2項においても、個人情報取扱事業者は、本人の求めに応じて個人データの第三者への提供を停止する等の同項に定める措置を取っている場合、本人から事前の同意を得ることなく、個人データを第三者提供すること(いわゆる「オプトアウト」)が認められている。

 しかし、名簿業者による個人データの不正流通事案の発生等を背景に行われた法改正の結果、オプトアウトの要件が加重・厳格化された。すなわち、平成29年5月30日に施行される改正法23条2項においては、オプトアウト手続により個人データを第三者提供しようとする個人情報取扱事業者に関しては、個人情報保護委員会に対し、本届出を行うことが新たに義務付けられる。また、本届出事項に変更があった場合も、個人情報取扱事業者は、変更内容を個人情報保護委員会に届け出る義務を負う(改正法23条3項)。そして、これらの届出事項に関しては、個人情報保護委員会により公表される(改正法23条4項)。

 改正法の施行を間近に控え、個人情報保護委員会は、平成29年3月1日から、個人情報保護委員会が定める様式に基づく届出書の提出を受け付ける旨を公表した。具体的な届出書様式及び記入要領は、平成29年2月下旬頃、個人情報保護委員会HPに掲載予定とされている。なお、個人情報保護委員会によれば、平成30年2月頃に別途定める情報処理システムを使用した電子届出も導入されるとのことであるが、当面は書面による届出という方法のみにより、本届出が受け付けられることとなろう。

 なお、改正法においてオプトアウトに関して厳格化された要件は、上記のとおり個人情報保護委員会へ本届出を行うことのほか、具体的には下表のとおりである。

  1. ① 要配慮個人情報(改正法2条3項)については、オプトアウトが認められなくなること(改正法23条2項)
  1. ② オプトアウトに際して本人に対する通知・届出等を行うべき事項として、「本人の求めを受け付ける方法」が追加されたこと(改正法23条2項)
  1. ③ オプトアウトに際して本人に対する事前の通知又は容易に知り得る状態に置く措置の内容が、個人情報保護委員会規則に定める方法に限定されるようになったこと(改正法23条2項。なお、規則7条1項各号において、「本人に対する事前の通知又は容易に知り得る状態に置く措置」の具体的な内容として、個人データの第三者提供を行うに際して、本人が第三者提供の停止を要求するために必要な期間(具体的な日数は定められていない)をおくこと等が定められている)

 個人情報取扱事業者が、本届出を怠るなど適切にオプトアウト手続を行わない場合、個人情報保護委員会から、違反是正措置に係る勧告(改正法42条1項)、勧告に従わない場合には措置命令(改正法42条2項)、措置命令に従わない場合には6か月以下の懲役または30万円以下の罰金(改正法84条)といった制裁等の対象となる可能性もある。特に、現行法下で適式にオプトアウト手続を行っている個人情報取扱事業者に関しても、新たに本届出を行う等改正法に従ったオプトアウト手続を行う必要があるという点に留意されたい。

以 上

 

【参考:オプトアウト手続を実施する必要がないケースの例(個人情報保護委員会HP「個人情報保護法の改正に伴うオプトアウト手続に係る個人情報保護委員会への届出について」から引用)】

 

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