◇SH1333◇厚労省、長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果(平成28年度)を公表 (2017/08/07)

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厚労省、長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果(平成28年度)を公表

--66%で労働基準関係法令違反、43%で違法な時間外労働--

 

 厚生労働省は7月26日、平成28年4月から平成29年3月までに、長時間労働が疑われる23,915事業場に対して実施した、労働基準監督署による監督指導の実施結果を取りまとめ、公表した。この監督指導は、月80時間を超える時間外・休日労働が行われた疑いのある事業場や、長時間労働による過労死等に関する労災請求があった事業場を対象として行われるものである(平成27年度における監督対象事業場は、「月100時間」を超える残業が疑われる事業場などであったが、平成28年度においては、「月80時間」に対象を拡大している)。

 以下、今回の監督指導結果の概要を紹介する。

 

監督指導結果の概要

1 法違反の状況(是正勧告書を交付したもの)

 期間中、23,915事業場に対して監督指導を実施し、15,790事業場(全体の66.0%)で労働基準関係法令違反が認められた。

 主な違反内容は、次のとおり。

  1. ① 違法な時間外労働があったもの 10,272事業場(全体の43.0%)
  2. ・ うち、時間外・休日労働の実績がもっとも長い労働者の時間数が月80時間を超えるもの 7,890事業場(違法な時間外労働があった10,272事業場の76.8%)
  3. ・ うち、月100時間を超えるもの 5,559事業場(同54.1%)
  4. ・ うち、月150時間を超えるもの 1,168事業場(同11.4%)
  5. ・ うち、月200時間を超えるもの 236事業場(同2.3%)
     
  6. ② 賃金不払残業があったもの 1,478事業場(全体の6.2%)
  7. ・ うち、時間外労働の実績がもっとも長い労働者の時間数が1か月当たり80時間を超えるもの 909事業場(賃金不払残業があった1,478事業場の61.5%)
     
  8. ③ 過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの 2,355事業場(全体の9.8%)

2 主な健康障害防止に係る指導の状況(指導票を交付したもの)

(1) 過重労働による健康障害防止のための指導状況

 監督指導を実施した事業場のうち、20,515事業場(全体の85.8%)に対して、長時間労働を行った労働者に対する医師による面接指導等の過重労働による健康障害防止措置を講じるよう指導した。

 主な指導事項の内訳は、次のとおりである(重複あり)。

  1. ・ 時間外・休日労働を月80時間以内に削減するよう指導したもの 14,012事業場(過重労働による健康被害防止措置の指導を受けた20,515事業場の68.3%)
  2. ・ 時間外・休日労働を月45時間以内に削減するよう指導したもの 6,436事業場(同31.3%)
  3. ・ 衛生委員会等における調査審議の実施 3,796事業場(同18.5%)
  4. ・ 面接指導等の実施 2,403事業場(同11.7%)

(2) 労働時間の適正な把握に係る指導状況

 監督指導を実施した事業場のうち、2,963事業場(全体の12.4%)に対して、労働時間の把握が不適正であるため、厚生労働省で定める「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」(平成29年1月20日)に適合するよう指導した。

 主な指導事項の内訳は、次のとおりである(重複あり)。

  1. ・ 始業・就業時刻の確認・記録 1,661事業場(労働時間の適正な把握に係る指導を受けた2,963事業場の56.1%)
  2. ・(自己申告制による場合)実態調査の実施 1,277事業場(同43.1%)
  3. ・(自己申告制による場合)自己申告制の説明 467事業場(同15.8%)
  4. ・(自己申告制による場合)適正な申告の阻害要因の排除 213事業場(同7.2%)

3 重点監督により把握した実態

 監督指導を実施した23,915事業場において、労働時間の管理方法を確認したところ、次のとおりである(重複あり)。

  1. ・ 使用者が自ら現認 2,547事業場(全体の10.7%)
  2. ・ タイムカードを基礎 6,509事業場(同27.2%)
  3. ・ ICカードまたはIDカードを基礎 3,671事業場(同15.4%)
  4. ・ 自己申告制 8,880事業場(同37.1%)
  5. ・ その他の方法(たとえば、出勤簿) 5,603事業場(同23.4%)

 

 

  1. ○ 厚労省、長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果を公表します(7月26日)
    http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000172536.html
  2. (別添1)平成28年4月から平成29年3月までに実施した監督指導結果
    http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11202000-Roudoukijunkyoku-Kantokuka/betten1.pdf
  3. (別添2)監督指導事例
    http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11202000-Roudoukijunkyoku-Kantokuka/betten2.pdf
  4. (参考資料)労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン
    http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-11202000-Roudoukijunkyoku-Kantokuka/sankou_3.pdf
     
  5. 参考(前回の監督指導結果について)
    SH0627 厚労省、長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導結果を公表 羽間弘善(2016/04/13)
    https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=1303055

 

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