◇SH1398◇東証、コーポレートガバナンス・コードへの対応状況の集計結果(2017年7月時点)を公表(2017/09/19)

未分類

東証、コーポレートガバナンス・コードへの対応状況の集計結果(2017年7月時点)を公表

−−全73原則を実施している会社が大幅に増加−−

 

 東京証券取引所は、9月5日、「コーポレートガバナンス・コードへの対応状況の集計結果(2017年7月14日時点)」を公表した。コーポレートガバナンス・コード(以下「コード」)について、東証では、上場会社が提出したコーポレート・ガバナンスに関する報告書に基づいて対応状況を集計しており、今回が4回目となる(前回は2016年12月末日時点)。

 今回の集計では、集計時点(7月14日)までに市場第一部2,021社(前回調査比19社増)、市場第二部519社(同9社減)など合計3,533社(同21社増)がコードへの対応状況を開示している。

 以下では、全73原則(基本原則:5原則、原則:30原則、補充原則:38原則)についてコンプライ・オア・エクスプレインの対象とされる市場第一部・第二部のガバナンス報告書提出会社2,540社(同10社増)についてみてみる。

 対象となった2,540社のうち、全73原則をコンプライ(実施)している会社は659社(前回調査比155社増)で、比率では25.9%(同6.0ポイント増)と大幅に増加した。一部原則をエクスプレイン(説明)している会社は1,881社(同145社減)で比率では74.1%(同6.0ポイント減)となった。このうち、実施している原則の数が90%以上の会社は1,599社(同40社減)で比率では63.0%(1.8ポイント減)、実施している原則の数が90%未満の会社は282社(同105社減)で比率では11.1%(同4.2ポイント減)と減少した。

 これを市場別にみると、市場第一部上場会社(今回の集計対象は2,021社)では、全原則実施している会社が638社(全2,021社の31.6%)、90%以上実施している会社が1,241社(同61.4%)、90%未満実施している会社が142社(同7.0%)となった。市場第二部上場会社(今回の集計対象は519社)では、全原則実施している会社が21社(全519社の4.0%)、90%以上実施している会社が358社(同69.0%)、90%未満実施している会社が140社(同27.0%)となった。

 コードの原則ごとの「実施」「説明」の状況をみると、73原則のうち、全社(2,540社)が「実施」している原則は7原則(補充原則1-1㈪、原則1-6、原則2-1、原則3-2、原則4-5、補充原則4-13㈰、補充原則4-13㈪)で、前回調査比で4原則の増加となった。

 一部の会社が「説明」している原則は66原則(同4原則の減少)で、このうち、実施率90%以上が55原則(同3原則の減少)、実施率90%未満が11原則(同1原則の減少)となった。

 「説明」率が高い原則(説明率20%超)は、次のようになっている。

  1. ○ 補充原則1−2④
    「議決権の電子行使のための環境整備(例:議決権電子行使プラットフォームの利用等)、招集通知の英訳」
     =実施会社数1,122社・説明会社数1,418社・説明率55.8%(前回調査比1.9ポイント減)
  2. ○ 補充原則3−1②
    「海外投資家等の比率等を踏まえた英語での情報の開示・提供の推進」
     =実施会社数1,794社・説明会社数746社・説明率29.4%(同0.7ポイント減)
  3. ○ 補充原則4−2①
    「中長期的な業績と連動する報酬の割合、現金報酬と自社株報酬との割合の適切な設定」
     =実施会社数1,800社・説明会社数740社・説明率29.1%(同2.3ポイント減)
  4. ○ 補充原則4−11③
    「取締役会による取締役会の実効性に関する分析・評価、結果の概要の開示」
     =実施会社数1,812社・説明会社数728社・説明率28.7%(同16.1ポイント減)
  5. ○ 補充原則4−10①
    「指名・報酬等の検討における独立社外取締役の関与・助言(例:独立社外取締役を主な構成員とする任意の諮問委員会の設置)」
     =実施会社数1,948社・説明会社数592社・説明率23.3%(同2.3ポイント減)

 「説明」率が高い原則のうち、前回調査との比較で「実施」が進んだのは、以下の2つであった。

  1. ○ 補充原則4−11③
    「取締役会による取締役会の実効性に関する分析・評価、結果の概要の開示」
     =71.3%(前回調査比16.1ポイント増)
  2. ○ 原則4−8
    「独立社外取締役の有効な活用」
     =84.8%(同5.3ポイント増)

 「説明」の内容をみると、66の原則に対して、1,881社により、のべ8,142件(前回調査比1,604件減)の「説明」が記載されている。これを内容により分類すると、「今後、実施の予定(時期の明示の有無を問わず)」が777件(全8,142件の9.5%、前回調査比5.3ポイント減)、「実施するかどうか検討中」が2,900件(同35.6%、同4.4ポイント減)、「実施予定なし」が4,465件(同54.8%、同9.7ポイント増)となっている。

 

  1. ○ 東証、コーポレートガバナンス・コードへの対応状況の集計結果(2017年7月14日時点)(9月5日)
    http://www.jpx.co.jp/news/1020/20170905-01.html
  2.  
  3. 参考
    SH0981 東証、コーポレートガバナンス・コードへの対応状況の集計結果(2016年12月末時点)を公表(2017/01/26)
    https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=2884296

    SH0806 藤原宇基「JPX、コーポレートガバナンス・コードへの対応状況の集計結果(2016年7月時点)」(2016/09/21)
    https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=2071276

    東証、コーポレートガバナンス・コードへの対応状況の集計結果(2016年12月末時点)
    http://www.jpx.co.jp/equities/listing/cg/tvdivq0000008jdy-att/20170116.pdf

    東証、コーポレートガバナンス・コードへの対応状況の集計結果(2016年7月時点)
    http://www.jpx.co.jp/equities/listing/cg/tvdivq0000008jdy-att/nlsgeu000001y75a.pdf

    東証、コーポレートガバナンス・コードへの対応状況の集計結果(2015年12月末時点)
    http://www.jpx.co.jp/equities/listing/cg/tvdivq0000008jdy-att/20160120-1.pdf

 

タイトルとURLをコピーしました