働き方改革に関する経団連の最近の取組み
−−「長時間労働につながる商慣行の是正に向けた共同宣言」と「働き方改革事例集」の公表−−
長時間労働の削減等の「働き方改革」については、政府が最重要課題の一つとしており(「働き方改革実行計画」働き方改革実現会議3月28日決定)、日本経済団体連合会もさまざまな取組みを行っているところである。
以下では、最近の経団連の取組みを紹介する。
1 「長時間労働につながる商慣行の是正に向けた共同宣言」
経団連は9月22日、「長時間労働につながる商慣行の是正に向けた共同宣言」を公表した。
経団連では、2017年度の活動を「働き方改革 CHALLENGE 2017」と定めて、「働き方改革アクションプラン」の策定、年休取得促進キャンペーン「トップが主導『年休3!4!5!』」の継続実施、各種リレーセミナーや働き方改革事例集(後掲)を通じた周知活動などの活動を展開しているところである。こうした取組みの一環として、経団連、日本商工会議所、経済同友会、全国中小企業団体中央会と59の業種別経済団体、47の地方別経済団体の計110団体(9月22日現在)が「長時間労働につながる商慣行の是正に向けた共同宣言」を取りまとめたものである。
「宣言」によると、「昨今、働き方改革への関心が高まり、経営トップ自らが強いリーダーシップを発揮し、長時間労働を前提とした企業風土や職場慣行を見直す企業が増えており」、「これら取組みをさらに深化させるためには、一企業だけで解決することが困難な商慣行の見直しを強力に推進していくことが求められ」るとした上で、「本宣言は、これら商慣行の是正に向けた経済界の強い意志を示すとともに、各団体の加盟企業における取組みの推進を目的として取りまとめたもの」であるとしている。そして、「会員各位におかれましては、本宣言の趣旨をご理解の上、長時間労働につながる商慣行の是正に向けた取組みの推進をお願い申し上げます」としている。
◯ 長時間労働につながる商慣行の是正に向けた共同宣言
労働力人口が減少していく中、わが国企業が持続的に成長していくためには、非効率な働き方を改め、競争力の源泉である人材の確保・定着を図りつつ、生産性を大きく向上させていくことが不可欠です。
昨今、働き方改革への関心が高まり、経営トップ自らが強いリーダーシップを発揮し、長時間労働を前提とした企業風土や職場慣行を見直す企業が増えています。今後、これをさらに深化させるためには、一企業だけでは解決することが困難な商慣行の見直しを強力に推進していくことが求められます。
われわれ経済界は、消費者や取引先の理解を得ながら、下記の取組みを推進し、長時間労働につながる商慣行の是正、ひいては、サプライチェーンに係わる誰もが働きやすい職場環境を整備し、持続可能な経済社会の実現に貢献していくことを宣言します。
- 1. 関係法令・ルールの遵守に加え、取引先が労働基準関連法令に違反しないよう、配慮する。
- 2. 発注内容が曖昧な契約を結ばないよう、契約条件(発注業務・納期・価格等)の明示を徹底する。
- 3. 契約時の適正な納期の設定に加え、仕様変更・追加発注を行った場合の納期の見直しなどに適切に対応する。
- 4. 取引先の休日労働や深夜労働につながる納品など、不要不急の時間・曜日指定による発注は控える。
- 5. 取引先の営業時間外の打合せや電話は極力控える。
- 6. 短納期・追加発注・高品質など、サービスの価値に見合う適正な価格で契約・取引する。
2 「働き方改革事例集」
経団連は9月25日、「働き方改革事例集」を公表した。これは、経団連会員企業による、長時間労働の是正、有給休暇取得促進、育児・介護と仕事の両立支援、仕事と健康の両立、テレワーク等の柔軟な働き方、に関する先進的な事例を具体的に紹介するものである。
事例集で取り上げられているのは、下記の15社である。
- 日本生命保険・大成建設・大和ハウス工業・東邦銀行・ベネッセコーポレーション
- 岩田屋三越(三越伊勢丹グループ)・三井不動産・サタケ・高島屋・クレディセゾン
- 本田技研工業・マツダ・NECネッツエスアイ・サントリーホールディングス・常陽銀行
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経団連、「長時間労働につながる商慣行の是正に向けた共同宣言」の公表について(9月22日)
http://www.keidanren.or.jp/policy/2017/071.html -
○「長時間労働につながる商慣行の是正に向けた共同宣言」
http://www.keidanren.or.jp/policy/2017/071_sengen.pdf -
経団連、「働き方改革事例集」(9月25日)
http://www.keidanren.or.jp/policy/2017/072.pdf -
経団連、「働き方改革 CHALLENGE 2017」
http://www.keidanren.or.jp/policy/wlb.html