◇SH1434◇香港:香港国際仲裁センター(HKIAC)仲裁規則の改正 青木 大(2017/10/13)

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香港:香港国際仲裁センター(HKIAC)仲裁規則の改正

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 青 木   大

 

 香港国際仲裁センター(HKIAC)が仲裁規則の改正を検討している。現在、改正案はHKIACのホームページ上で公開され、パブリックコメントに付されている。

 現行のHKIAC仲裁規則は2013年11月1日に施行されたものである。全面的な規則の改定は予定していないものの、この4年間での国際的な仲裁プラクティスの発展を踏まえ主に以下の点についての改正が検討されている。

  1. 1. オンライン上のリポジトリシステムを利用した書面の提出を認めること
     
  2. 2. 仲裁開始後に他の紛争解決手続(調停等)を行うことを当事者が合意した場合に、仲裁廷は仲裁手続を停止することができることを明記
     
  3. 3. 仲裁言語として複数言語が指定されている場合の手続の詳細を規定(全ての仲裁人が理解可能な言語が存在する場合には、当該言語のみでの書面提出等を認めるが、そのような言語が存在しない場合は、全ての言語で提出書面を準備しなければならないこと等)
     
  4. 4. ①仲裁合意の当事者ではない者であっても、全ての当事者(当該者を含む)の合意がある場合、また②他の仲裁合意に服する当事者であっても、共通の法律又は事実の問題が存在し、同一又は関連する取引から生じた請求であり、仲裁合意が適合的である場合には、当該仲裁手続に参加できることを明記
     
  5. 5. 複数契約に基づく紛争について、当事者が異なる場合であっても単一の仲裁を提起できる場合があることを規定
     
  6. 6. 同一の仲裁廷が選任されているが手続が併合されていない複数の仲裁手続について、仲裁廷はヒアリングを同時に開催できること、一方の仲裁判断が出るまで他方の仲裁手続を停止できること等を明記
     
  7. 7. Third Party Fundingが香港においても合法化されたことに伴い、資金提供者の存在及びその名称を仲裁廷・他方当事者に開示しなければならないこと等を規定

 この他、HKIACは、①投資協定仲裁に特化した仲裁規則の策定の要否、②一定の事実又は法律問題について簡易・早期に判断を行うことができる制度(Early Determination Procedure)の新設の是非についてユーザーに意見を求めている(なお、これらはいずれも既にシンガポール国際仲裁センター(SIAC)においては導入されているものである。)。

 

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