◇SH1475◇実学・企業法務(第91回) 齋藤憲道(2017/11/06)

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実学・企業法務(第91回)

第3章 会社全体で一元的に構築する経営管理の仕組み

同志社大学法学部

企業法務教育スーパーバイザー

齋 藤 憲 道

 

2. 内部統制システム

(2) 金融商品取引法の内部統制システム 

 企業会計審議会が公表した「内部統制の基準・実施基準[1]」は、金融商品取引法24条の4の4を受けた内部統制府令1条4項において、「一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部統制に関する監査の基準に該当する」と明記されている。

 「内部統制の基準・実施基準」が、「内部統制報告書」及び「内部統制監査報告書」の作成基準になるので、企業の内部統制システムの構築は、この基準を参照して行うことになる。

 

① 内部統制の定義  内部統制の基準・実施基準(2011年改訂)より

 内部統制とは、基本的に、「4つの目的」が達成されているとの合理的な保証を得るために、業務に組み込まれ、組織内のすべての者によって遂行されるプロセスをいい、「6つの基本的要素」から構成される。

  1. 「4つの目的」
  2.    基本的に、次の4つの目的が達成されているとの合理的な保証を得るために、業務に組み込まれ、組織内の全ての者によって遂行されるプロセスをいう。
    ⑴ 業務の有効性及び効率性、⑵ 財務報告の信頼性、⑶ 事業活動に関わる法令等の遵守、⑷ 資産の保全
     
  3. 「6つの基本的要素」
  4.    内部統制の構成要素は、次の6つで構成される。
    ⑴ 統制環境(企業風土)、⑵ リスク評価(リスクの洗い出しと、分析)、⑶ 統制活動(業務手順や職務 分掌の決定等)、⑷ 情報と伝達(上意下達、下意上達、報告、啓発、ホットライン等)、⑸ モニタリング(日常監視活動と、独立した監査・評価)、⑹ IT(情報技術)への対応
      この中の「⑴ 統制環境」は、組織の気風を決定し、組織内の全ての者の統制に関する意識に影響を与えるので、他の5要素の基盤として機能する。
  1. (注1)「統制環境」の例
    誠実性及び倫理観、経営者の意向及び姿勢、経営方針及び経営戦略、取締役会及び監査役又は監査委員会の有する機能、組織構造及び慣行、権限及び職責、人的資源に対する方針と管理
  2. (注2)「リスク」に関する内部統制実施基準[2]の説明
    「リスクの評価」とは、組織目標の達成に影響を与える事象について、組織目標の達成を阻害する要因をリスクとして識別、分析及び評価するプロセスをいう。また、「リスクへの対応」とは、リスクの評価を受けて、当該リスクへの適切な対応を選択するプロセスをいう。リスクへの対応に当たっては、評価されたリスクについて、その回避、低減、移転又は受容等、適切な対応を選択する。

 

② 内部統制に関係を有する者の役割と責任 内部統制の基準・実施基準(2011年改訂)より

 内部統制は、組織内の全ての者によって遂行されるプロセスであり、各構成員の役割と責任の概要は、次の通りである。

 1 経営者

  1. ・ 組織の全ての活動について最終的な責任を有し、その一環として、取締役会が決定した基本方針に基づいて内部統制を整備・運用する役割・責任がある。
  2. ・ 責任を果たす手段として、社内組織を通じて内部統制の整備・運用を行う。
  3. ・ 組織内の誰よりも、統制環境に係る諸要因・その他の内部統制の基本的要素に影響を与える組織の気風の決定に大きな影響力を持つ。
     

 2 取締役会

  1. ・ 内部統制の整備・運用に係る基本方針を決定する。
  2. ・ 経営者による内部統制の整備・運用に対して監督責任がある。
  3. ・「全社的な内部統制」の重要な一部であり、「業務プロセスに係る内部統制」における統制環境の一部でもある。
     

 3 監査役(又は、監査委員会)

  1. ・ 取締役・執行役の職務の執行に対する監査の一環として、独立した立場から、内部統制の整備及び運用状況を監視、検証する役割と責任がある。
     

 4 内部監査人

  1. ・ 内部統制の基本的要素の一つであるモニタリングの一環として、内部統制の整備・運用状況を検討、評価し、必要に応じて、その改善を促す職務を担う。
  1. (注) 部署名に係わらず、内部統制の整備・運用状況を検討、評価し、その改善を促す職務の者及び部署をいう。
     

 5 組織内のその他の者

  1. ・ 上記以外の組織内の者も、有効な内部統制の整備・運用に一定の役割を担う。

 

  1. (筆者注)
    このプロセスの運営状況を監査することは、コーポレート・ガバナンスの枠組みの有効性の評価を行うことを意味する。

 



[1] 制度の導入(2007年(平成17年)2月15日に制定され、2008年4月1日以後開始する事業年度から適用。)から2年経過した2011年(平成23年)3月30日に、実施経験を踏まえて「財務報告に係る内部統制の評価及び監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準の改訂について(意見書)企業会計審議会」が公表された。

[2] 財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準

 

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