経団連、企業行動憲章を改定
−−持続可能な社会の実現に向けて革新技術の活用や人権の尊重に取り組む−−
日本経済団体連合会(会長=榊原定征・東レ相談役)は11月8日、企業行動憲章を改定した。
企業行動憲章については、「企業が高い倫理観と責任感をもって行動し、社会から信頼と共感を得る必要がある」として、経団連が1991年に制定し、企業の責任ある行動原則を定めているところであり、今回は7年ぶり5回目の改定である。
経団連では、「IoTやAI、ロボットなどの革新技術を最大限活用して人々の暮らしや社会全体を最適化した未来社会、Society 5.0」の実現を目指しているが、今般、「Society 5.0の実現を通じたSDGs(持続可能な開発目標)の達成を柱」として、企業行動憲章を改定したものである。今回の改定では、「人権の尊重」の項目を新たに追加するなど、社会的課題の解決に企業として取り組む姿勢を示すものとなっている。
憲章の改定とあわせて、経団連は、「企業行動憲章 実行の手引き(第7版)」も公表している。「手引き」では、憲章の各項目について、その背景を明らかにするとともに、「基本的心構え・姿勢」、「具体的なアクション・プランの例」や参考となるコラムを掲載している。
以下では、今回の憲章改定のポイントを紹介する。
◯ 企業行動憲章の主な改定のポイントと関連項目
- • サブタイトルを「持続可能な社会の実現のために」へ変更
- • イノベーションを発揮して、持続可能な経済成長と社会的課題の解決を図ることを新たに追加
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第1条(持続可能な経済成長と社会的課題の解決)
イノベーションを通じて社会に有用で安全な商品・サービスを開発、提供し、持続可能な経済成長と社会的課題の解決を図る。
- • 人権の尊重を新たに追加
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第4条(人権の尊重)
すべての人々の人権を尊重する経営を行う。
- • 働き方の改革の実現に向けて表現を追加
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第6条(働き方の改革、職場環境の充実)
従業員の能力を高め、多様性、人格、個性を尊重する働き方を実現する。また、健康と安全に配慮した働きやすい職場環境を整備する。
- • 多様化・複雑化する脅威に対する危機管理に対応
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第9条(危機管理の徹底)
市民生活や企業活動に脅威を与える反社会的勢力の行動やテロ、サイバー攻撃、自然災害等に備え、組織的な危機管理を徹底する。
- • 自社・グループ企業に加え、サプライチェーンにも行動変革を促す
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第10条(経営トップの役割と本憲章の徹底)
経営トップは、本憲章の精神の実現が自らの役割であることを認識して経営にあたり、実効あるガバナンスを構築して社内、グループ企業に周知徹底を図る。あわせてサプライチェーンにも本憲章の精神に基づく行動を促す。また、本憲章の精神に反し社会からの信頼を失うような事態が発生した時には、経営トップが率先して問題解決、原因究明、再発防止等に努め、その責任を果たす。
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経団連、企業行動憲章の改定にあたって〜Society 5.0の実現を通じたSDGs(持続可能な開発目標)の達成〜(11月8日)
http://www.keidanren.or.jp/policy/cgcb/charter2017.html
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○ 企業行動憲章 実行の手引き(第7版)
http://www.keidanren.or.jp/policy/cgcb/tebiki7.pdf -
○ 企業行動憲章の主な改定ポイントと関連するSDGsの目標の例
http://www.keidanren.or.jp/policy/cgcb/2017shiryo1.pdf -
○ Society 5.0 for SDGs
http://www.keidanren.or.jp/policy/cgcb/2017shiryo2.pdf -
○【英訳版】Charter of Corporate Behavior – For the Realization of a Sustainable Society –
http://www.keidanren.or.jp/en/policy/csr/charter2017.html