◇SH1515◇経産省と公取委、下請取引の適正化等について要請を行う(2017/11/27)

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経産省と公取委、下請取引の適正化等について要請を行う

−−下請法の遵守、消費税の転嫁の確保等を要請−−

 

 経済産業省と公正取引委員会は11月15日、下請取引の適正化等について要請を行った。

 政府は、中小企業の取引条件の改善に向けて、2016年12月に下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」)の運用強化等を行っている。景気の緩やかな回復基調が継続する中、中小企業の業況も緩やかに改善しているものの、原材料価格の上昇や人手不足への懸念など、中小企業を取り巻く環境は依然として厳しい状況にある。

 これから年末にかけての金融繁忙期には下請事業者の資金繰り等について一層厳しさを増すことが懸念されるため、経産省と公取委では、

  1. ① 親事業者が下請代金を早期にかつ可能な限り現金で支払い、下請事業者の資金繰りに支障を来たさないようにすることが必要であり、下請事業者と十分な協議を行い適切な対価の決定を行う、事前に定めた支払期日までに下請代金を全額支払うなど、下請事業者への不当なしわ寄せが生じることのないよう取り組んでほしいこと
  2. ② 政府が進める「働き方改革」においても事業者間の取引条件の改善が課題であるとされているところ、たとえば、極端な短納期発注等は、取引先における長時間労働等につながる場合があり、下請代金支払遅延等防止法等の違反の背景にもなり得るため、特に注意してほしいこと

等について、親事業者約21万社および関係事業者団体約660の代表者に対し、経済産業大臣および公正取引委員会委員長連名の文書をもって要請した。

 また、経済産業大臣名(他省庁所管の業界については主務大臣との連名)で、業界団体892の代表者に、下請中小企業振興法に定める「振興基準」(平成28年12月14日改正)の遵守について要請したものである。

 以下では、「下請取引の適正化について」の要請文を紹介する。

 

○ 下請取引の適正化について(20171016中第2号・公取企第92号・平成29年11月15日)

 公正取引委員会及び経済産業省は、日頃より、下請代金支払遅延等防止法(昭和31年法律第120号)違反行為への厳正な対処を行うとともに、同法の普及啓発を行っております。

<取引先の置かれている現状>

 我が国経済は、景気の緩やかな回復基調が継続する中、中小企業の業況も緩やかに改善していますが、原材料価格の上昇や人手不足への懸念など、中小企業を取り巻く環境は依然として厳しい状況にあります。また、これから年末にかけての金融繁忙期を迎えるに当たり、下請事業者の資金繰り等について一層厳しさを増すことが懸念され、親事業者が下請代金を早期にかつ可能な限り現金で支払い、下請事業者の資金繰りに支障を来さないようにすることが必要です。

 

<下請法への理解と代金支払方法の適正化について>

 昨年12月には、経済の好循環を実現するためには、下請等中小企業の取引条件を改善していくことが重要であるとの政府の問題意識の下、㈰違反行為の未然防止や事業者からの情報提供に資するよう、違反行為事例の充実等を内容とした「下請代金支払遅延等防止法に関する運用基準」を改正するとともに、㈪「親事業者による下請代金の支払いについて」として、

  1. ・ 下請代金の支払いはできる限り現金によること
  2. ・ 手形による場合は割引料を下請事業者に負担させることがないよう下請代金の額を十分に協議すること
  3. ・ 手形サイトは将来的に60日以内とするよう努めること

を旨とした通達を発出し、下請取引の適正化に努めるよう親事業者、業界団体に要請したところです。

 

<社内周知及び実施のお願い>

 貴社におかれましては、このような状況を十分に認識いただき、下請事業者と十分な協議を行い適切な対価の決定を行う、事前に定めた支払期日までに下請代金を全額支払うなど、下請事業者への不当なしわ寄せが生じることのないよう、社を挙げて取り組んでいただきますようお願いいたします。

 特に別紙(略)の記載事項については、調達担当者のみならず役員等責任者まで周知徹底を図り、担当役員等の責任者には調達担当者の指導及び監督に当たらせるなど、適切な措置を講じるよう強く要請いたします。

 とりわけ、政府が進める「働き方改革」においても事業者間の取引条件の改善が課題であるとされています。例えば、極端な短納期発注等は、取引先における長時間労働等につながる場合があり、下請法等の違反の背景にもなり得ますので特に御注意願います。

 

<消費税の円滑・適正な転嫁について>

 さらに、消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保する観点から、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法(平成25年法律第41号)が、平成25年10月1日から施行されています。貴社におかれましては、減額や買いたたき等による消費税の転嫁拒否等の行為を行うことがないよう、改めて貴社全体で適切な措置を講じるよう併せて強く要請いたします。

 

 

  1. 経産省、下請取引の適正化等について、親事業者等に要請します(11月15日)
    http://www.meti.go.jp/press/2017/11/20171115001/20171115001.html
  2.  
  3. ○ 別添1 下請取引の適正化について
    http://www.meti.go.jp/press/2017/11/20171115001/20171115001-1.pdf
  4. ○別添2 下請事業者への配慮等について
    http://www.meti.go.jp/press/2017/11/20171115001/20171115001-2.pdf
  5.  
  6. 公取委、下請取引の適正化について(11月15日)
    http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h29/nov/171115_1.html
  7. ○ 下請取引の適正化について
    http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h29/nov/171115_1.files/171115press-shitauketorihiki.pdf
  8. ○(別添1)要請文書(親事業者宛て)
    http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h29/nov/171115_1.files/171115press-betten1.pdf
  9. ○(別添2)要請文書(関係事業者団体宛て)
    http://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/h29/nov/171115_1.files/171115press-betten2.pdf
  10.  
  11. 参考 SH0952 中小事業者の取引条件の改善に向けた下請法等の運用強化の動き——下請法運用基準、下請中小企業振興基準、下請代金の支払手段についての見直し(2017/01/05)
    https://www.shojihomu-portal.jp/article?articleId=2714582

 

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