◇SH1533◇消費者庁、特定商取引法の改正に関するページを更新し、説明会資料等を掲載 平井 太(2017/12/06)

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消費者庁、特定商取引法の改正に関するページを更新し、説明会資料等を掲載

岩田合同法律事務所

弁護士 平 井   太

 

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 平成28年6月3日に公布された「特定商取引に関する法律の一部を改正する法律」(以下、改正後の特定商取引に関する法律を「改正特商法」といい、本稿で引用する条文は特に記載ない限り改正特商法のもの。)が、平成29年12月1日から施行された。

 今回の改正は、近年、消費生活センター等に寄せられる消費生活相談が高水準で推移しているところ、その大半が特定商取引に関する相談であるという実情にかんがみ、特定商取引に対する規制を強化する趣旨のものであり、そのポイントとしては、「行政規制の新設及び民事ルールの拡充」と「法執行力の強化」の2点に大別される。

 

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 「行政規制の新設及び民事ルールの拡充」としては、下記のようなものがある。

  1. ⑴ 通信販売におけるファクシミリ広告規制の導入
    従来の電子メール広告に関する規制(第12条の3)に加え、改正特商法では、通信販売において、承諾等を得ていない消費者に対するファクシミリ広告が原則として禁止され、事業者に対し、消費者から承諾等があったことについての記録(原則として、それぞれの消費者ごとから承諾等を得たことを示す書面または電子データの記録。)の保存義務(ファクシミリ広告を送信した日から1年間)が課されている(第12条の5)。
    また、事業者は、ファクシミリ広告に、これを拒否するために必要な事項(送信停止のためのファクシミリ番号[1])を表示する必要があるため(第12条の5第4項)、ファクシミリ広告を活用する場合には、同表示の有無を事前にチェックする必要があろう。
  2. ⑵ 電話勧誘販売における過量販売規制の導入
    従来、訪問販売において規制対象となっていた過量販売(消費者がその日常生活において通常必要とする分量を著しく超える商品の売買契約等)につき、電話勧誘販売においてもこれが規制対象とされ、消費者から申し込みの撤回又は契約の解除ができる(第24条の2第1項)とともに、事業者に対する行政処分の対象となる(第22条第2項等)。
  3. ⑶ 定期購入契約に関する表示義務の追加
    インターネットを通じた通信販売等において、「初回割引」などと通常より低価格で購入できる旨広告する一方で、数か月の定期購入が条件となっている定期購入契約に関するトラブルが増加する傾向にあることにかんがみ、改正特商法では、事業者に対し、通信販売にて定期購入契約を締結するにあたり、定期購入契約である旨及び金額(総額等)、契約期間その他の販売条件を、その広告やインターネット通販における申し込み・確認画面に表示する義務が課された[2]。下図は「インターネット通販における『意に反して契約の申込みをさせようとする行為』に係るガイドライン」に示された、定期購入契約にかかるインターネット通販の申し込み・確認画面において記載すべき事項の例である。

 

 

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 改正特商法における「法執行力の強化」としては、①禁止行為を行った事業者に対する当該行為の是正のための措置をとるべきことについての「指示」(行政処分)につき、指示を行ったことの公表の義務化(第7条2項等)、②禁止行為等を行った事業者に対する業務停止命令の期間の最長2年(従前は最長1年)への伸長、③業務停止命令を受けた法人の役員等が、同命令を受けた直後に別法人を立ち上げるなどして実質的に業務を継続する事案が発生していることにかんがみ、業務停止を命ぜられた法人の役員及び使用人等に対して、新たに法人を設立するなどして業務を継続することを禁止する「業務禁止命令」の新設(第8条の2等)、④不実告知等に対する法人への罰金刑が1 億円以下(従前は300万円以下)の罰金に引き上げられるなどの禁止行為や行政処分違背に対する罰則の強化などが挙げられる。

 

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 本稿で取り上げた点以外にも、改正特商法の施行にあたり、規制が強化されている事項がある。従来の営業活動が改正特商法に抵触するおそれがないか、念のためのチェックを行うことも検討されたい。

以 上



[1] 特定商取引に関する法律施行規則第11条の11。

[2] 特定商取引に関する法律施行規則第8条第7号、同第16条、「インターネット通販における『意に反して契約の申込みをさせようとする行為』に係るガイドライン」参照。

 

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