◇SH1563◇実学・企業法務(第104回) 齋藤憲道(2017/12/25)

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実学・企業法務(第104回)

第3章 会社全体で一元的に構築する経営管理の仕組み

同志社大学法学部

企業法務教育スーパーバイザー

齋 藤 憲 道

 

2. 第2次世界大戦後の経済基盤形成期から高度経済成長期へ  1945~1965年

 第2次世界大戦が終結した1945年(昭和20年)から1947年にかけてGHQ(連合国軍総司令部)による経済民主化政策の一環として財閥解体が行われ、現在の日本産業界の原型ができた。

  1. 1947(昭和22年) 独占禁止法制定
  2.    持株会社が規制され、純粋持株会社が禁止された。
     
  3. 1948(昭和23年) 証券取引法制定、公認会計士法制定[1]
  4.    証券取引法と公認会計士法[2]が制定され、1949年の東京・大阪等の8証券取引所の開設を経て、1951年に証券取引法に基づく公認会計士監査が開始された。(正規監査は、5年間の段階的な準備期間を経て、1957年から実施された。)
  1. (注) 1949年に日本公認会計士協会が任意団体として発足した。(1953年に社団法人化)
  1. 1950〔一部、1951年〕(昭和25年。一部規定は26年) 商法改正[3]
  2.    ドイツ法を基礎とする既存の商法に、アメリカ法[4]の「取締役会制度」を採り入れて、株主の地位が強化され、所有と経営の分離が進んだ。
     株主総会の決議事項が法律・定款の規定する事項に限定された[5]。新設された取締役会の権限は広く会社の業務執行全般に及ぶ[6]。取締役会は、代表取締役を選任して会社の代表権を付与し、取締役の業務執行を監督する。取締役の任期は2年(以前は、3年)とされた。
     1950年の改正では、取締役権限の強化を牽制する仕組みとして、取締役責任の厳格化[7]が図られるとともに、一定の株主に、株主代表訴訟を提起する権利[8]、取締役の法令・定款違反に対する差止請求権及び会計帳簿の閲覧・謄写請求権が付与され、組織再編行為に反対する株主には株式買取請求権が付与された[9]
     監査役の業務範囲は会計監査に限定され(それまで担っていた業務監査は監査役の業務から外れた。)、任期は1年(以前、2年)とされた[10]
     会社と取締役の間の訴訟においては、取締役会が定める者又は株主総会が定める者が会社を代表する。
  1. (注1) 1948年の証券取引法及び公認会計士法の制定を踏まえて、監査役の資格を公認会計士に限ろうとする議論もあったが、公認会計士制度が未確立で、監査役制度は廃止されなかった[11]
     なお、1957年(昭和32年)1月1日以降に開始される事業年度について、証券取引法適用会社に対して、証券取引法に基づく正規の財務諸表監査(即ち、公認会計士による会計監査)が実施された。
  2. (注2) 1950年に、企業会計基準審議会(現、企業会計審議会)が「監査基準」及び「監査実施準則」を制定した。
  1.    1951年に、会社荒らしを狙う濫訴(株主代表訴訟)の防止を図るために、裁判所が相当の担保の提供を命じることができるように改正された。
  1. (注) 株主代表訴訟制度は、訴訟提起が費用等の面で難しく、実際には多用されなかった。


[1] これに伴って、1948年に計理士法が廃止された。

[2] 公認会計士制度は、証券市場における財務諸表の信頼性確保を目的として導入された。

[3] 中東正文編『商法改正〔昭和25年・26年〕 GHQ/SCAP文書 日本立法資料全集本巻91』(信山社出版、2003)に改正の経緯が詳しく解説されている。

[4] アメリカ法には監査役制度が存在しない。

[5] 昭和25年改正法230条ノ2

[6] 昭和25年改正商法260条

[7] 昭和25年改正商法266条は、取締役の株式会社に対する損害賠償責任を定める。

[8] 昭和25年改正商法267条は、株主が会社に対して提訴を請求し、会社が30日以内に訴訟提起しない場合は、株主が自ら訴訟を提起することとした。

[9] 昭和25年改正商法272条(差止請求権)、293条ノ6(閲覧・謄写請求権)、245条ノ2(買取請求権)

[10] 昭和25年改正商法273条。監査役の人数の規定はないが、設置しなければならないので最低1人は必要である。同法275条、280条、254条。

[11] 鈴木竹雄=石井照久『改正株式会社法解説』(日本評論社、1950)190頁。 

 

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