◇SH1634◇監査役協会と会計士協会、「監査役等と監査人との連携に関する共同研究報告」を改正(2018/02/08)

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監査役協会と会計士協会、「監査役等と監査人との連携に関する共同研究報告」を改正

--平成26年改正会社法、コーポレートガバナンス・コード等に対応--

 

 日本監査役協会と日本公認会計士協会は1月25日、「監査役等と監査人との連携に関する共同研究報告」の改正について公表した。

 同研究報告は、監査役もしくは監査役会または監査委員会、監査等委員会(以下「監査役等」)と監査人がそれぞれの職責を果たすうえでの相互連携のあり方を示すことにより、両者の連携強化、コーポレート・ガバナンスの一層の向上を目的として、監査役協会と会計士協会が共同して取りまとめたものである。

 今回の改正は、前回(平成25年11月)の改正以後行われた以下の法令等の策定や改正などの状況の変化を踏まえて、内容の見直しを行ったものとされている。

  1.  •  会社法(平成26年6月改正)
  2.  •  監査基準委員会報告書260「監査役等とのコミュニケーション」(平成27年5月改正)
  3.  •  監査役監査基準等(平成27年7月改正)
  4.  •  コーポレートガバナンス・コード(平成27年6月策定)
  5.  • 「監査法人の組織的な運営に関する原則」(監査法人のガバナンス・コード)(平成29年3月策定)

 以下では、今回の改正部分のうち、「2. 監査役等と監査人との連携と効果」の一部を紹介する。

 

2. 監査役等と監査人との連携と効果

(略)会社法では、監査役等には会計監査人の選解任等に関する議案内容の決定権及び監査報酬の同意権が付与されているが、この権限を適切に行使するためにも、監査役等は監査人と十分なコミュニケーションを取ることが必要である。また、コーポレートガバナンス・コードでも、原則3-2において外部会計監査人及び上場会社は、外部会計監査人が株主・投資家に対して責務を負っていることを認識し、外部会計監査人の適正な監査の確保に向けての適切な対応を行うこと、及び原則4-4において監査役等は外部会計監査人の選解任や監査報酬に係る権限等の行使などの役割・責務を果たすに当たって、株主に対する受託者責任を踏まえ、独立した客観的な立場において適切な判断を行うことが規定されている。

 これらの規定は会計監査に関連した監査役等と監査人の連携を前提としている。しかしながら、監査役等と監査人の連携は会計監査が中心となるものの、監査役等が業務監査から得る情報は監査人の監査にも有用である。一方、監査人から得られる情報は監査役等にとって会計監査だけでなく業務監査にも有用である。したがって、連携の目的としては会計監査の観点にこだわることなく、監査役等と監査人それぞれが担う監査の実効性を確保し、有効性及び効率性を高めるとの観点からも、相互の連携を強化することが求められる。

(略)特に、グローバル化などにより、企業の活動が大規模かつ複雑になる傾向があるため、全ての活動を一律に監査するのではなく、リスクが存在すると思われるところを重点的に監査するリスク・アプローチの手法が取られてきており、リスクの把握が極めて重要となってきている。監査役等と監査人それぞれが保有するリスク情報を共有し、意見交換をすることにより、適切なリスクの把握につなげることが期待される。

(略)連携を考える上での一つの参考として、会計監査に関連して会社法、金商法及びその他の規範における監査役等と監査人の連携に関連する規定を以下に記載した。

 ① 会社法における関連規定

  1.  •  監査役等による株主総会に提出する会計監査人の選任・解任・不再任議案の決定に関する規定
  2.    平成27年5月施行の改正会社法により、「株主総会に提出する会計監査人の選任及び解任並びに会計監査人を再任しないことに関する議案の内容は、監査役(会)が決定する。」こととなった(第344条第1項及び第3項)。指名委員会等設置会社では以前から監査委員会に会計監査人の選解任等に関する議案の内容の決定権があり(第404条第2項第2号)、また、当該会社法改正により設けられた監査等委員会設置会社の監査等委員会にも監査委員会と同様の権限が付与されており(第399条の2第3項第2号)、いずれの機関設計においても監査役等に会計監査人の選解任等の議案内容の決定権が付与されることとなった。監査役等は、会計監査人の品質管理体制の確認、監査チームとの情報・意見交換、企業集団内の他の監査人との連携状況(親会社監査人から子会社監査人に対する指示の状況を含む。)の確認などを通じて、会計監査人が監査品質を維持し適切に監査しているかを評価することが従来にも増して重要となっている。

(略)

 ③ その他の規範における規定

  1.  •  コーポレートガバナンス・コードにおける規定
  2.    コーポレートガバナンス・コードは、コンプライ・オア・エクスプレインを原則とするため、必ずしも遵守することが求められているわけではないが、監査役会が対応を行うべきこととして、「外部会計監査人候補を適切に選定し外部会計監査人を適切に評価するための基準の策定」(補充原則3-2①(i))、「外部会計監査人に求められる独立性と専門性を有しているか否かについての確認」(同3-2①(ⅱ))を求めている。また、取締役会及び監査役会に対し、「十分な監査時間の確保」、「経営陣幹部へのアクセス(面談等)の確保」、「監査役、内部監査部門や社外取締役との十分な連携の確保」、「不正を発見し適切な対応を求めた場合や、不備・問題点を指摘した場合の会社側の対応体制の確立」(同3-2②)など、監査人の監査環境の整備を求めている。
     
  3.  •  監査法人のガバナンス・コードにおける規定
  4.    監査法人のガバナンス・コードは、多くの構成員から成る大手監査法人を念頭としており、それ以外の監査法人において一律に適用を義務付けられているものではなく、また、コーポレートガバナンス・コードと同様、コンプライ・オア・エクスプレインを原則とするため、必ずしも遵守することが求められているわけではないが、監査法人が、経営陣幹部及び監査役等との間で監査上のリスク等について率直かつ深度ある意見交換を尽くすとともに、監査の現場における被監査会社との間での十分な意見交換や議論に留意すべきことを求めている(指針4-4)。また、監査法人は、被監査会社、株主、その他の資本市場の参加者等が評価できるよう、会計監査の品質の向上に向けた取組みについて、一般に閲覧可能な文書、例えば「透明性報告書」といった形で、わかりやすく説明すること(同5-1)、及びそれらの者と積極的な意見交換に努めること(同5-3)を求めている。

 

  1. 監査役協会、「監査役等と監査人との連携に関する共同研究報告」を改正(1月25日)
    http://www.kansa.or.jp/news/briefing/post-403.html
  2. 会計士協会、「監査役等と監査人との連携に関する共同研究報告」の改正について(1月25日)
    http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/20180125jbq.html
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