◇SH1659◇フィリピン:企業結合規制に関する新ルール(下) 澤山啓伍(2018/02/21)

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フィリピン:企業結合規制に関する新ルール(下)

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 澤 山 啓 伍

 

 本稿では、前回に続き、2017年11月23日に公布された、フィリピン公正取引委員会(Philippine Competition Commission)(以下「PCC」という。)による企業結合に関する新ルール(PCC Rules on Merger Procedure)(以下「新ルール」という。)について、概説する。

 

2. 審査手続

 施行規則では、通知がなされた企業結合について、2段階での審査が行われることを規定しているが、新ルールではそれぞれの段階での手続の詳細を規定している。第1段階は最長30日間で行われ、通知された企業結合が、より詳細な審査を必要とする競争上の問題を生じさせるかどうかが審査される。この段階でPCCが問題ないとの結論に至らない場合には、その旨が当事者に通知され、最長60日間の第2段階の審査が行われる。

 第2段階の審査において、調査を行うM&A局(Mergers and Acquisitions Office)が、対象とする企業結合が実質的な競争制限をもたらすとの結論に至った場合には、第2段階の審査開始から45日以内に、M&A局からPCC及び当事者に対して、その結論及びその競争制限を回避するための提案を記載した懸念表明書(Statement of Concerns)が提出される。当該懸念表明書は、秘密情報を排除した形でPCCのウェブサイトに公開され、第三者からの意見も聴取される。当事者も、懸念表明書に対して釈明を求め、自己の意見を書面又は審問の場で表明する機会が与えられる。これらを経て、最終的にPCCが当該企業結合に関する決定を行う。

 なお、PCCは、通知を受けなかった企業結合についても、その通知義務の有無にかかわらず、自発的に、当該企業結合により実質的な競争制限が発生しないかどうかを調査することができる。

 

3. 違反に対する制裁

 新ルールは、企業結合に関する通知義務及び通知後の待機期間の違反についての罰則を定めたPCC Memorandum Circular No. 17-001を明示的に改訂している。

 新ルールでは、上記のMemorandum Circularが定めている通知義務違反及び通知後の待機期間違反に対する罰則に加えて、禁止された企業結合を行った場合(初回の違反で最大1億フィリピンペソ)や、通知が期限に遅れた場合の罰則(最大2百万フィリピンペソ)などを定めるほか、実際の罰金額の決定の際に考慮すべき事情など詳細な規定を定めている。

 

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