インドネシア:個人情報保護法の制定(1)
―個人データの定義、適用対象―
長島・大野・常松法律事務所
弁護士 前 川 陽 一
はじめに
2022年10月17日、個人情報保護法(2022年法律第27号)は、大統領の署名を受け制定された。同法案が2020年1月に国会に提出されて以来、実に足掛け3年の審理を経ての成立となった。東南アジア諸国では近年、個人情報保護法制が整備されてきた。本法制定以前、インドネシアでは、各事業分野に応じて個人情報の規制がされるほかには、通信情報大臣令2016年第20号や政令2019年第71号が電子システム上で取り扱われる個人情報について規制を定めていた。本法は、事業分野にかかわらず、また電子システムを介するかどうかにかかわらず、包括的に個人情報の保護について定めたものである。なお、本法以前に制定された個人情報保護に関する各法規は、本法施行後も本法に抵触しない範囲で引き続き効力を有するものとされている。
1 個人データの定義
本法において、個人データとは「特定の個人に関するデータ、又は電子的若しくは非電子的システムを通じ、直接若しくは間接に、単独で若しくは他の情報と組み合わせて特定可能な個人に関するデータ」と定義される。
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(まえかわ・よういち)
1998年東京大学法学部卒業。2006年東京大学法科大学院修了。2007年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2013年Northwestern University School of Law卒業(LL.M.)。2013年~2016年長島・大野・常松法律事務所ジャカルタ・デスク(Soemadipradja & Taher内)勤務。2019年10月~長島・大野・常松法律事務所シンガポール・オフィス勤務。
現在はシンガポールを拠点とし、インドネシア及び周辺国における日本企業による事業進出および資本投資その他の企業活動に関する法務サポートを行っている。
長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/
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