経産省、「『攻めの経営』を促す役員報酬ー企業の持続的成長のためのインセンティブプラン導入の手引ー」を改訂
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業
弁護士 齋 藤 宏 一
弁護士 佐 賀 洋 之
弁護士 香 川 遼太郎
1 はじめに
経済産業省は、2023年3月31日、「『攻めの経営』を促す役員報酬―企業の持続的成長のためのインセンティブプラン導入の手引―」(以下「本手引」という。)の改訂版を公表した[1]。中長期の企業価値向上に対応する役員報酬制度の導入を促すことを目的として策定された本手引の改訂は約1年10か月ぶりであるところ、今回の改訂は、2022年7月に改訂された「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」[2](以下「CGSガイドライン」という。)の改訂内容を反映したものとなっている。
なお、本手引については過去にも数度の改訂がなされており、その概要は以下のとおりである。
時期 |
主な改訂内容 |
2017年4月 |
本手引の公表 |
2017年9月 |
|
2019年3月 |
主に株式報酬、業績連動報酬に関するQ&Aについて、問合せが多かった項目を中心に改訂 |
2019年5月 |
2019年度税制改正にかかる部分を中心にQ&Aを改訂 |
2020年9月 |
2020年度税制改正にかかる部分を中心にQ&Aを改訂 |
2021年6月 |
2021年3月施行の改正会社法を反映 |
2023年3月 |
CGSガイドラインの改訂にかかる部分を中心に改訂 |
以下では、本手引の今回の改訂内容について概観する。なお、紙幅の関係上詳細は割愛するが、今回の改正には、以下に記載するもののほか、本手引の関係法令(法人税法、所得税法、金融商品取引法の関連条文)についてのアップデートも含まれている。
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(さいとう・こういち)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業パートナー。1999年東京大学法学部卒業。2001年弁護士登録(第一東京)。2008年ハーバード・ロースクール(LLM)修了、2008-2009年ハーバード・ロースクール客員研究員。2009年ニューヨーク州弁護士登録。SDGs、ダイバーシティ、ビジネスと人権、人的資本への投資等、サステナビリティという観点からの企業の事業運営に関連して精力的に活動を行っている。
(さが・ひろゆき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業アソシエイト。2012年東京大学法学部卒業・2014年東京大学法科大学院修了。2015年弁護士登録(第一東京)。2021年米国Columbia University School of Law (LL.M.)修了。2022年ニューヨーク州弁護士登録。主に国内外のM&A、ベンチャー投資、一般企業法務、株主総会対応等のコーポレート案件を取り扱っている。
(かがわ・りょうたろう)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業アソシエイト。早稲田大学法学部卒業。2022年弁護士登録(東京弁護士会)。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。
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