メタバースをめぐる法的課題への対応に関する官民連携会議の動向(続報④)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所[*]
弁護士 後 藤 未 来
弁護士 中 島 滉 平
1 はじめに
「メタバース上のコンテンツ等をめぐる新たな法的課題への対応に関する官民連携会議」(以下「本官民連携会議」という。)では、昨年11月以降、3つの分科会において、それぞれメタバースをめぐる法的課題について議論が進められ、本年3月16日に、各分科会の論点整理案が公表された[1]。本稿では、筆者らによる前4稿[2]の続報として、第三分科会(主に仮想オブジェクトやアバターにかかる行為に関する論点が議論されている。)の論点整理案を紹介するほか、メタバース上の紛争における国際裁判管轄や準拠法に関する議論についても概観する。なお、上記論点整理案については、2023年4月21日付でパブリックコメントに付されている。
2 論点整理案(第三分科会)の概要
⑴ メタバース上の問題事案に関する現状認識
第三分科会では、仮想オブジェクト・アバターに対する行為やアバター間の行為について、①メタバース上で通常は想定されない事案、②メタバースで生じることが想定される事案のうち現実空間でも生じているもの、③メタバースで生じることが想定される事案のうち現実空間にはなかった新たなものの3つに大別し、それぞれについて、現状の法規制等を整理している。
(※)第三分科会「論点整理」素案 -概要[3]より抜粋
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(ごとう・みき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー、弁護士・ニューヨーク州弁護士。理学・工学のバックグラウンドを有し、知的財産や各種テクノロジー(IT、データ、エレクトロニクス、ヘルスケア等)、ゲーム等のエンタテインメントに関わる案件を幅広く取り扱っている。ALB Asia Super 50 TMT Lawyers(2021、2022)、Chambers Global(IP分野)ほか選出多数。AIPPIトレードシークレット常設委員会副議長、日本ライセンス協会理事。
(なかしま・こうへい)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2020年早稲田大学法学部卒業。2022年弁護士登録(東京弁護士会)。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。
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[*] 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用