SH4470 中国:日本における重要土地等調査法の制定及び中国からの不動産投資に対する影響(上) 鹿はせる/鈴木航太(2023/06/05)

取引法務不動産法

中国:日本における重要土地等調査法の制定及び中国からの不動産投資に対する影響(上)

長島・大野・常松法律事務所
弁護士 鹿   はせる
弁護士 鈴 木 航 太

 

はじめに

 近時、中国系企業が沖縄の無人島の土地を購入したことがSNSへの投稿をきっかけとして報道され、購入された島が沖縄本島北方に位置し、国境に近いことから、日本の安全保障への影響について官房長官が記者会見でコメントするなど、大きく話題を呼んだ。

 報道でも取り上げられたが、安全保障上の懸念が認められる国境離島や防衛関係施設周辺等における土地の所有・利用をめぐっては、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律(令和3年法律第84号。以下「重要土地等調査法」という。)が、2021年6月23日に公布され、2022年9月20日に全面施行されている。本稿では、重要土地等調査法の成立の経緯、内容及び中国からの不動産投資などの実務への影響や、想定される今後の展開を概観する。

1 重要土地等調査法の成立経緯・概要

⑴ 成立経緯

 日本では近年、国境離島や防衛関係施設周辺等における土地の所有・利用が安全保障上懸念をもたらすおそれがあることが政府でたびたび議論され、2020年には「経済財政運営と改革の基本方針2020」(同年7月17日閣議決定)において、「安全保障等の観点から、関係府省による情報収集など土地所有の状況把握に努め、土地利用・管理等の在り方について検討し、所要の措置を講ずる」ことが決定された。

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(ろく・はせる)

長島・大野・常松法律事務所東京オフィスパートナー。2006年東京大学法学部卒業。2008年東京大学法科大学院修了。2017年コロンビア大学ロースクール卒業(LL.M.)。2018年から2019年まで中国大手法律事務所の中倫法律事務所(北京)に駐在。M&A等のコーポレート業務、競争法業務の他、在中日系企業の企業法務全般及び中国企業の対日投資に関する法務サポートを行なっている。

 

(すずき・こうた)

2017年慶應義塾大学卒業。2018年弁護士登録(第一東京弁護士会)、長島・大野・常松法律事務所入所。M&A案件を中心とする企業法務全般に従事するとともに、日系企業による海外進出や海外企業の日本での事業活動をサポートしている。2023年4月よりシンガポール・オフィス勤務。

 

 

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