SH4462 公取委、インボイス制度の実施に関連した注意事例を公表 三浦貴史(2023/05/30)

取引法務競争法(独禁法)・下請法

公取委、インボイス制度の実施に関連した注意事例を公表

岩田合同法律事務所

弁護士 三 浦 貴 史

 

1 インボイス制度

 インボイス制度(適格請求書等保存方式)とは、一方で、買手は、仕入税額控除[1]の適用のために、原則として売手から交付を受けたインボイス(適格請求書)[2]を保存する必要があり、他方で、売手は、インボイスを交付するためには、事前にインボイス発行事業者(適格請求書発行事業者)の登録を受ける必要がある(かかる登録を受けると、課税事業者として消費税の申告が必要となる)、という制度である[3]

 

2 公表された注意事例

 公正取引委員会(以下「公取委」という。)の発表によれば、今般、発注事業者(課税事業者)が、経過措置により一定の範囲で仕入税額控除が認められている[4]にもかかわらず、免税事業者である取引先に対し、インボイス制度の実施後も課税事業者に転換せず、免税事業者を選択する場合には、消費税相当額を取引価格から引き下げると文書で伝えるなど一方的に通告した事例がみられたとのことである。

 これを踏まえて、公取委は、独占禁止法違反行為(具体的には優越的地位の濫用(同法第2条第9項第5号ハ)を未然に防止する観点から、以下のような発注事業者に対して注意を行った。

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(みうら・たかし)

岩田合同法律事務所アソシエイト。2014年東京大学法学部卒業。2016年東京大学法科大学院卒業。2017年弁護士登録。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>
1902 年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

<連絡先>
〒100-6315 東京都千代田区丸の内二丁目4番1号丸の内ビルディング15階 電話 03-3214-6205(代表)

 


公取委、インボイス制度の実施に関連した注意事例について
https://www.jftc.go.jp/file/invoice_chuijirei.pdf

事務総長定例会見記録(5月17日付)〔インボイス制度の実施に関連した注意事例について〕
https://www.jftc.go.jp/houdou/teirei/2023/apr_jun/230517.html

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