SH4475 SNSプラットフォーマーの責任をめぐる通信品位法230条の改正動向と直近の連邦最高裁の判決 中崎尚(2023/06/07)

電子商取引・プラットフォーム取引法務

SNSプラットフォーマーの責任をめぐる通信品位法230条の改正動向と直近の連邦最高裁の判決

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業

弁護士 中 崎   尚

 

1 米国における通信品位法の概要

 通信品位法とは、1996年に成立した米国の新通信法(47 U.S. Code)の230条(c)に定められている、インターネット上でのわいせつ文書や画像などを規制する条項(Communications Decency Act(CDA))のことである。以下に条項を抜粋する。

 

通信品位法

230条(c)

Protection for “Good Samaritan” blocking and screening of offensive material(不快感を与える素材の「良きサマリア人」によるブロック及び識別に対する保護)

(1) Treatment of publisher or speaker(発行者又は代弁者としての取扱い)

“No provider or user of an interactive computer service shall be treated as the publisher or speaker of any information provided by another information content provider.”(双方向コンピュータ・サービスのいかなる提供者又は利用者をも、別の情報コンテンツ提供者が提供する情報の発行者又は代弁者として扱ってはならない。)

(2) Civil liability(民事責任)

“No provider or user of an interactive computer service shall be held liable on account of”(いかなる双方向コンピュータ・サービスの提供者又は利用者も、次の事項を理由として責任があるとみなしてはならない。)

(2) (A)

“ (A) any action voluntarily taken in good faith to restrict access to or availability of material that the provider or user considers to be obscene, lewd, lascivious, filthy, excessively violent, harassing, or otherwise objectionable, whether or not such material is constitutionally protected; or”(当該提供者又は利用者がわいせつな、淫らな、好色な、卑猥な、過度に暴力的な、困惑させるようなその他の好ましくないと判断した素材が憲法上保護されているかどうかにかかわらず、当該素材へのアクセス又はその利用可能性を制限するために誠実に、かつ、自発的に行われた措置)

(2) (B)

“ (B) any action taken to enable or make available to information content providers or others the technical means to restrict access to material described in paragraph (1). ”(1項に記載された素材へのアクセスを制限する技術的手段を、情報コンテンツプロバイダーまたはその他の者が利用できるようにするために取られた措置)

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(なかざき・たかし)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業スペシャルカウンセル。東京大学法学部卒、2001年弁護士登録(54期)、2008年米国Columbia University School of Law (LL.M.)修了、2009年夏まで米国ワシントンD.C.のArnold & Porter法律事務所に勤務。復帰後は、インターネット・IT・システム関連を中心に、知的財産権法、クロスボーダー取引を幅広く取扱う。日本国際知的財産保護協会編集委員、経産省おもてなしプラットフォーム研究会委員、経産省AI社会実装アーキテクチャー検討会作業部会構成員、経産省IoTデータ流通促進研究会委員、経産省AI・データの利用に関する契約ガイドライン検討会委員、International Association of Privacy Professionals (IAPP) Co-Chairを歴任。2022年より内閣府メタバース官民連携会議委員。

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

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アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。

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