SH4480 法執行分野における顔認識技術の実装と使用に関するガイドライン(最終版)」(EDPB)および「企業による消費者の生体認証情報または関連技術の使用がFTC法に違反になる可能性があるかどうかを判断する際の考慮要素等に関する声明」(米連邦取引委員会(FTC)) 中崎尚(2023/06/09)

競争法(独禁法)・下請法

法執行分野における顔認識技術の実装と使用に関するガイドライン(最終版)」(EDPB)および「企業による消費者の生体認証情報または関連技術の使用がFTC法に違反になる可能性があるかどうかを判断する際の考慮要素等に関する声明」(米連邦取引委員会(FTC))

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業

弁護士 中 崎   尚

 

1 顔認識情報、ならびに生体認証情報の世界的な規制の潮流

 顔認識情報、ならびに生体認証情報の取扱い、とりわけ捜査機関を始めとする法執行機関による取扱いをめぐって、欧米を始めとする世界各国において、規制に向けた議論が進められている。たとえば、2023年5月11日に欧州連合(EU)の欧州議会の2つの委員会において承認された、「AIに関する整合的規則(AI法)の制定および関連法令の改正に関する欧州会議および理事会による規則案」(REGULATION OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL LAYING DOWN HARMONISED RULES ON ARTIFICIAL INTELLIGENCE(ARTIFICIAL INTELLIGENCE ACT)AND AMENDING CERTAIN UNION LEGISLATIVE ACTS)(AI規則案)では、公共空間でのリアルタイムの生体認証システムの使用を禁止することに加え、顔認識のデータベースを作成する目的で、SNSや監視カメラ映像から生体データを無差別に収集する行為を禁止する内容が盛り込まれている。[1]本稿では、欧州データ保護委員会(EDPB)より2023年5月17日に公表された、「法執行分野における顔認識技術の実装と使用に関するガイドライン(最終版)」および米連邦取引委員会(FTC)より2023年5月18日に公表された、「企業による消費者の生体認証情報または関連技術の使用がFTC法に違反になる可能性があるかどうかを判断する際の考慮要素等に関する声明」を紹介する。

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(なかざき・たかし)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業スペシャルカウンセル。東京大学法学部卒、2001年弁護士登録(54期)、2008年米国Columbia University School of Law (LL.M.)修了、2009年夏まで米国ワシントンD.C.のArnold & Porter法律事務所に勤務。復帰後は、インターネット・IT・システム関連を中心に、知的財産権法、クロスボーダー取引を幅広く取扱う。日本国際知的財産保護協会編集委員、経産省おもてなしプラットフォーム研究会委員、経産省AI社会実装アーキテクチャー検討会作業部会構成員、経産省IoTデータ流通促進研究会委員、経産省AI・データの利用に関する契約ガイドライン検討会委員、International Association of Privacy Professionals (IAPP) Co-Chairを歴任。2022年より内閣府メタバース官民連携会議委員。

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