SH4620 個人情報委、パンフレット「生成AIサービスの利用に関する注意喚起-個人情報がAIの学習データとして利用されていませんか?-」を公表 田浦一/中村美子(2023/09/07)

取引法務個人情報保護法

個人情報委、パンフレット「生成AIサービスの利用に関する注意喚起-個人情報がAIの学習データとして利用されていませんか?-」を公表

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 田 浦   一

弁護士 中 村 美 子

 

1 はじめに

 2023年8月21日、個人情報保護委員会は、広報パンフレット「生成AIサービスの利用に関する注意喚起-個人情報がAIの学習データとして利用されていませんか?-」[1](以下「本パンフレット」という。)を公表した。

 個人情報保護委員会は、これに先立つ2023年6月2日付で「生成サービスの利用に関する注意喚起等について」と題する資料(以下「令和5年6月注意喚起等資料」という。)を公開している[2]。本パンフレットは、当該資料をベースに、主要なポイントを簡潔に記載する形で作成されたものである。

 個人情報保護委員会がこのような注意喚起を行っている背景は、日本において、現在、OpenAIらが提供するChatGPTを始めとするような生成AIサービス(すなわち、質問・作業指示(プロンプト入力)等に応えて文章・画像等を生成するAIを利用したサービス)が普及していることにある。生成AIサービスが普及し、利用者が急増する中で、個人情報取扱事業者や行政機関等である利用者において気づかないうちに個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」という。)等に違反する恐れがあることから、注意を促すものと位置付けられている。

 

2 パンフレットの内容

 本パンフレットは、以下の点を指摘している。

入力する情報が、生成AIサービスの提供者においてAIの学習データとして利用されることが予定されている場合には、利用者(個人情報取扱事業者及び行政機関等)には以下の規律が課されます。このため、利用規約を確認するなどした上でサービスを利用するようにしてください。

 

○個人情報取扱事業者(個人情報データベース等を事業の用に供している者)に対する規律

 個人データを第三者に提供する場合は、原則として、あらかじめ本人の同意を得なければなりません(個人情報保護法第27条、第28条)。

 

○行政機関等に対する規律

 保有個人情報を利用、提供する場合は、原則として、特定された利用目的のために利用、提供しなければなりません(個人情報保護法第69条)。

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(たうら・はじめ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2008年北海道大学法学部卒業。2010年北海道大学法科大学院卒業。2011年弁護士登録(第一東京弁護士会所属)。2019年New York University School of Law(LLM)修了。2020年ニューヨーク州弁護士登録。データプライバシー法務の他、IT・インターネット関連の案件について広くアドバイスをしている。また、会社法・M&A関連の案件を多数取り扱う。

 

(なかむら・よしこ)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2015年中央大学法学部卒業。2017年東京大学法科大学院卒業。2018年弁護士登録(第二東京弁護士会所属)。税務関連の案件について広くアドバイスをするほか、データプライバシー法務、M&A、訴訟・紛争その他の企業法務全般を取り扱っている。

 

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