SH4632 スイス連邦データ保護法(FADP)の改正法の発効(2023年9月1日)と改正法のポイント 中崎尚(2023/09/22)

取引法務個人情報保護法

スイス連邦データ保護法(FADP)の改正法の発効
(2023年9月1日)と改正法のポイント

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 中 崎   尚

 

1 スイス連邦データ保護法の成立と十分性認定

 1992年、スイス連邦データ保護法(FADP:Federal Act on the Data Protection)が成立した。[1]2000年7月26日には、GDPRの前身である「データ保護指令(95/46/EC)」に基づいて、EU当局によりスイスのFADPについて十分性が認定された。

 

2 GDPRの成立と十分性認定の維持のためのFADP改正の必要

 EUは2016年4月にGDPRを採択した。GDPR下で十分性認定を維持するためにはスイス国内で整合的な法体系を整える必要があり、連邦参事会(内閣)は2017年9月15日、FADP改正案を連邦議会に提出した。

 EUでは、域内での個人情報保護の強化を目的として一般データ保護規則(GDPR)の適用が2018年5月に開始されたが、スイス国内では規制強化に対して国内で賛否が分かれ、議会での審議が遅れたこともあり、FADPの改正は完了しておらず、十分制認定を維持するため、GDPRと同等の個人データ保護制度の構築が急ぎ求められることとなった。スイス議会は、シェンゲン協定への加盟維持上で必要な「犯罪捜査、司法手続や人の自由な移動に関する個人データ保護指令」(2016/680)に対応した国内法改正を優先させることを決定し、2018年9月に改正法案を成立させた。

この記事はプレミアム向け有料記事です
ログインしてご覧ください


(なかざき・たかし)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所スペシャルカウンセル。東京大学法学部卒、2001年弁護士登録(54期)、2008年米国Columbia University School of Law (LL.M.)修了、2009年夏まで米国ワシントンD.C.のArnold & Porter法律事務所に勤務。復帰後は、インターネット・IT・システム関連を中心に、知的財産権法、クロスボーダー取引を幅広く取扱う。日本国際知的財産保護協会編集委員、経産省おもてなしプラットフォーム研究会委員、経産省AI社会実装アーキテクチャー検討会作業部会構成員、経産省IoTデータ流通促進研究会委員、経産省AI・データの利用に関する契約ガイドライン検討会委員、International Association of Privacy Professionals (IAPP) Co-Chairを歴任。2022年より内閣府メタバース官民連携会議委員。

 

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。

<連絡先>
〒100-8136 東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング

 


* 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用

タイトルとURLをコピーしました