SH4725 新たなセキュリティ・クリアランス制度の法制化に向けた議論の方向性 藤田将貴/石川雅人(2023/12/08)

組織法務経済安保・通商政策

新たなセキュリティ・クリアランス制度の法制化に向けた
議論の方向性

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 藤 田 将 貴

弁護士 石 川 雅 人

 

1 はじめに

 2023年2月に設置された経済安全保障分野におけるセキュリティ・クリアランス制度等に関する有識者会議(以下「有識者会議」という。)は、同年6月に過去6回にわたる有識者会議における検討の結果を中間論点整理[1]として公表した。

 高市早苗経済安全保障担当大臣はセキュリティ・クリアランス制度の創設を盛り込んだ法案の次期(2024年)通常国会への提出に向けて年内に最終とりまとめを行うと明言しており[2]、有識者会議は中間論点整理を踏まえ、法案化に向けた議論を加速化させている。すなわち、第7回有識者会議(2023年10月11日)では、今後新たに創設されるセキュリティ・クリアランス制度(以下「新たなセキュリティ・クリアランス制度」という。)の「基本的骨格」が示され、また、第8回有識者会議(2023年11月20日)では、情報の機微度に応じた信頼性の確認方法や漏えい等に対する罰則のあり方等について議論が行われている[3]

 以下では、第8回までの有識者会議における議論の状況とそのポイントについて説明する。

 

2 セキュリティ・クリアランス制度とは

 一般に、セキュリティ・クリアランス制度とは、国家における情報保全措置の一環として、政府が保有する安全保障上重要な情報として指定された情報(Classified Information、以下「CI」という。)にアクセスする必要がある者に対して政府による調査を実施し、当該者の信頼性を確認した上でアクセスを認める制度である。

 

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(ふじた・まさき)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー。2003年早稲田大学法学部卒業。2006年京都大学法科大学院修了。2007年弁護士登録(東京弁護士会)。2016年University of California, Berkeley(LLM)修了。2017年ニューヨーク州弁護士登録。大手総合商社法務部への出向経験を有する。経済安全保障・通商(米国・英国・EUの経済制裁及び貿易管理を含む)、M&A、事業再生分野を中心に取り扱う。主な著書・論文:『英文M&Aドラフティングの基礎』(共著)(金融財政事情研究会、2023)、「グローバル法務 日本企業が対応すべき世界の経済安全保障と人権の課題」(共著)会社法務A2Z 2023年1月号、「米国の経済制裁の基礎知識と実務対応のポイント」(Business Lawyers(ウェブサイト)、2022)、「米国による懸念国向け半導体関連輸出規制の強化」(商事法務ポータル、2023)、「米財務省 CFIUS2022年次報告書を公表」(商事法務ポータル、2023)ほか多数。

 

(いしかわ・まさと)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2010年東京大学法学部卒業。2010年警察庁入庁(~2021年)。2017年京都府警察本部警備部外事課長。2022年弁護士登録(第一東京弁護士会)。危機管理・不正調査、経済安全保障等を取り扱う。

 

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。

<連絡先>
〒100-8136 東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング

 


* 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用

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