生成AIとlawを巡る日本政府の議論の最新動向
――内閣府「AI戦略会議」、「AI時代の知的財産権検討会」等――
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 後 藤 未 来
1 はじめに
昨年11月にChat GPTが公開されて以降、AIとlawを巡る国内外の議論が急ピッチで進められている。国際的な議論の大きな動きとしては、2023年5月19日から21日にかけて開催されたG7広島サミットにおいて、G7 Hiroshima Leaders’ Communiquéが公表され、その中で、特に生成AIに関する国際的な議論のため「広島AIプロセス」を創設することとされた[1][2]。これを受け、総務省において、関係省庁(デジタル庁・経済産業省)と連携し、5月30日に広島AIプロセスを立ち上げ、第1回の作業部会が実施された。その後、9月5日には、G7閣僚級会合が開催され、閣僚声明が採択された[3]。
一方、内閣府が設置するAI戦略会議においては、2023年9月8日に第5回の会議(以下「本会議」という。)が開催され、直近の広島AIプロセスの進捗や、AI事業者の統合ガイドラインにかかる検討状況等について報告・検討がなされた[4]。
本会議の主な議題は、下表のとおりである。このうち、②に関しては、「新AI事業者ガイドラインスケルトン(案)」が公表された[5]。また、③に関しては、政府の知的財産戦略本部の下、2023年10月4日に「AI時代の知的財産権検討会」の第1回[6]が、同年10月18日に第2回がそれぞれ開催された。
主な議題 | 概 要 |
① 広島AIプロセスの報告 |
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② 統合ガイドライン |
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③ 知的財産権の今後の検討 |
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本稿では、本会議の議事要旨[7]や公表された各資料等を踏まえ、本会議および「AI時代の知的財産権検討会」の動向を概観する。
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(ごとう・みき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー、弁護士・ニューヨーク州弁護士。理学・工学のバックグラウンドを有し、知的財産や各種テクノロジー(IT、データ、エレクトロニクス、ヘルスケア等)、ゲーム等のエンタテインメントに関わる案件を幅広く取り扱っている。ALB Asia Super 50 TMT Lawyers(2021、2022)、Chambers Global(IP分野)ほか選出多数。AIPPIトレードシークレット常設委員会副議長、日本ライセンス協会理事。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
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