SH4761 最新実務:スポーツビジネスと企業法務 ESG経営・SDGsとスポーツビジネス(上) 加藤志郎(2024/01/10)

組織法務経営・コーポレートガバナンスサステナビリティ

最新実務:スポーツビジネスと企業法務
ESG経営・SDGsとスポーツビジネス(上)

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 加 藤 志 郎

 

1 企業のESG経営・SDGsとスポーツ

 近年、企業活動におけるESG(環境、社会、ガバナンス)要素の重要性が増している中、国連の提唱するSDGs(持続可能な開発目標)に関して、スポーツは、重要な鍵として位置付けられている。

 そのため、企業のESG経営の一環として、アスリート、スポーツチーム・リーグ、スポーツ団体等のライツホルダーとのスポンサーシップ・パートナーシップなどを通じた取組みを行うことは、正当であるとともに、スポーツの持つ影響力を活用して自らのESGに関する取組みを周知・拡散するという観点でも有効である。

 ライツホルダーとしても、スポーツ毎の特性等も活かしながらSDGsを意識した活動・運営を行うことにより、自らのブランド価値を高めるのみならず、上記のように企業の課題解決にも貢献できれば、企業によるスポンサーシップ・パートナーシップなどの投資を呼び込むことにつながる。

 そこで、本稿では、ライツホルダーおよびスポンサー・パートナー企業それぞれの立場からスポーツの影響力をESG経営・SDGsの達成のために適切に活用できるよう、その前提知識として、SDGsの国際的な枠組におけるスポーツの位置付けを確認した上、ESG・SDGsとスポーツの具体的な関わり方や企業によるスポンサーシップ・パートナーシップの実例を取り上げる。

 

2 SDGsにおけるスポーツの位置付け

 持続可能な世界を実現するために2030年までに国際社会が達成すべき目標であるSDGs(Sustainable Development Goals)につき、2015年に国連で採択された「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」[1]の37項では、以下のとおり、SDGsの達成におけるスポーツの重要性が明記されている。

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(かとう・しろう)

弁護士(日本・カリフォルニア州)。スポーツエージェント、スポンサーシップその他のスポーツビジネス全般、スポーツ仲裁裁判所(CAS)での代理を含む紛争・不祥事調査等、スポーツ法務を広く取り扱う。その他の取扱分野は、ファイナンス、不動産投資等、企業法務全般。

2011年に長島・大野・常松法律事務所に入所、2017年に米国UCLAにてLL.M.を取得、2017年~2018年にロサンゼルスのスポーツエージェンシーにて勤務。日本スポーツ仲裁機構仲裁人・調停人候補者、日本プロ野球選手会公認選手代理人。

 

長島・大野・常松法律事務所 http://www.noandt.com/

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