SH4798 法務省、「区分所有法制の見直しに関する要綱案」決定 中澤亮(2024/02/06)

取引法務不動産法

法務省、「区分所有法制の見直しに関する要綱案」決定

岩田合同法律事務所

弁護士 中 澤   亮

 

1 法改正の背景・経緯

 2022年の国土交通省調査によれば、2021年12月末時点における築40年超の分譲マンションの戸数は約116万戸に上っており、我が国では、今後、老朽化したマンション(区分所有建物)の急増が見込まれている(下図参照)。

 また、区分所有者の高齢化も進み、相続等を契機として、マンションの区分所有者が不明となったり、非居住となったりする状況が進行している。

 マンションの老朽化を防ぎ、また、建替え等による再生を行うためには、区分所有者の集会の決議が必要となるが、現行の建物の区分所有等に関する法律(以下「区分所有法」という。)では、集会に出席せず議決権を行使しない区分所有者が決議に対する反対者と同様に扱われること等によりマンションの円滑な管理や建替え等による再生が阻害される事態が顕在化しており、区分所有法の見直しが喫緊の課題となっている。

 こうした背景から、区分所有法の見直しについて、法務大臣から法制審議会への諮問がなされ、2022年10月より、区分所有法制部会(以下「部会」という。)において審議・検討が進められてきた。

 

出典:法務省民事局「区分所有法制の見直し」(令和5年7月)
https://www.moj.go.jp/content/001399230.pdfより抜粋

 

 その後、2023年7月3日に開始された「区分所有法制の改正に関する中間試案」(以下「中間試案」という。)に関する意見募集(パブリック・コメント)の手続を経て[1]、今般、「区分所有法制に関する要綱案」(以下「要綱案」という。)が決定されるに至った

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(なかざわ・りょう)

岩田合同法律事務所弁護士。2008年最高裁判所司法研修所修了(旧61期)、東京地方裁判所判事補。2013年カリフォルニア大学バークレー校(LL.M.)修了。2023年弁護士登録。争訟解決を中心に企業法務全般を取り扱う。

 

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>
1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

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法務省、「区分所有法制の見直しに関する要綱案」(16日決定)
https://www.moj.go.jp/shingi1/shingi04900001_00235.html

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