経産省および個人情報委、グローバルCBPRシステムの
稼働に向けた文書等の公表
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士・カリフォルニア州弁護士 井 上 乾 介
弁護士 西 村 順一郎
弁護士 長谷川 達
1 はじめに
令和6年5月7日、個人情報保護委員会および経済産業省は、グローバル越境プライバシールール(CBPR:Cross-Border Privacy Rules)フォーラム(以下「CBPRフォーラム」という。)において、個人データの越境移転に関する新たな国際企業認証制度であるグローバルCBPRシステム(以下「グローバルCBPRシステム」という。)の稼働に必要な文書等を公表したことを発表[1][2]した。
CBPRシステムとは、事業者の個人情報の保護に関して、第三者機関であるアカウンタビリティ・エージェント(認証機関)が所定の個人情報保護要件への適合性を認証することで、当該事業者の個人情報の取扱いが信頼に値することを国際的に認証し、もって個人情報の越境流通を促進することを目的とする制度である。
これまでAPEC(アジア太平洋経済協力会議)における個人データの越境移転に関する国際企業認証制度としてAPEC CBPRシステムが運用されてきたが、令和4年4月21日に設立されたCBPRフォーラムによって、APECの枠にとらわれない世界中からの参加が可能となるグローバルCBPRシステムの構築を目指している。
本稿では、日本の個人情報の保護に関する法律(以下「個情法」という。)における個人データの外国にある第三者への提供規制(以下「外国第三者提供規制」という。)の概要について触れた上で、グローバルCBPRシステムの要点および実務への影響について紹介する。
この記事はプレミアム向け有料記事です
続きはログインしてご覧ください
(いのうえ・けんすけ)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 スペシャル・カウンセル。2004年一橋大学法学部卒業。2007年慶応義塾大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録(東京弁護士会)。2016年カリフォルニア大学バークレー校・ロースクール(LLM)修了。2017年カリフォルニア州弁護士登録。著作権法をはじめとする知的財産法、個人情報保護法をはじめとする各国データ保護法を専門とする。
(にしむら・じゅんいちろう)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2016年東京大学法学部卒業。2018年東京大学法科大学院卒業。2019年弁護士登録(第二東京弁護士会)。主な取扱い分野は、知的財産法、個人情報保護法。2022年9月から2024年3月まで個人情報保護委員会事務局に出向。官民を問わず個人情報の取扱いにかかるルールの策定等に携わる。
(はせがわ・いたる)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2021年中央大学法学部卒業。2022年東京大学法科大学院中退。2023年弁護士登録(東京弁護士会)。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。
<連絡先>
〒100-8136 東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング
*「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用