SH4991 公取委、独占禁止法に関する相談事例集(令和5年度)を公表 武田敦(2024/06/25)

取引法務競争法(独禁法)・下請法

公取委、独占禁止法に関する相談事例集(令和5年度)を公表

岩田合同法律事務所

弁護士 武 田   敦

 

1 はじめに

 公正取引委員会(以下「公取委」という。)は、令和5年度における事業者等の活動に関する主要な相談事例をとりまとめた「独占禁止法に関する相談事例集(令和5年度)」を、令和6年6月13日に公表した。本稿では、当該事例集のうち、輸送用機械メーカー4社による二酸化炭素を排出しない燃料を使用する新技術に関する共同研究の実施及び研究結果の共有について独占禁止法上の問題の有無が検討された事例につき概観する。

 

2 事例の概要

 本件の事例は、輸送用機械Aの製造販売業を営む輸送用機械メーカー4社(我が国における輸送用機械Aの製造販売分野における4社の市場シェアの合計は約90%である。)が、技術として確立されておらず、多くの人的資源と資金を必要し、1社が単独で取り組むには難しい状況にある二酸化炭素を排出しない燃料を使用する新技術(以下「本件新技術」という。)のための基礎研究を共同で実施し(以下「本件共同研究」という。)、研究結果を共有するために、以下の⑴ないし⑷の方法で行われる取組(以下「本件取組」という。)に関して、独占禁止法上問題となるか否かについて検討されたものである。

⑴ 4社は、共同して、技術研究組合法に基づく技術研究組合(以下「本件組合」という。)を設立し、本件組合の行う研究結果を事業に利用する者であって、本件新技術開発に関する相応の技術をするものであれば、4社以外の事業者も、本件組合に参加することができる。

⑵ 本件共同研究の内容は、本件新技術に関して観察可能な事実や現象についての知識を得ること及び本件新技術の規格化のための課題の抽出に限られる。

⑶ 本件共同研究によって得られた成果については、本件組合に参加する事業者以外の事業者も、権利者からの実施許諾により、無償又は合理的な対価で利用することができる。なお、4社又は4社以外の事業者は、本件共同研究の成果を利用した次工程の研究開発並びに輸送用機械Aの開発及び製造を各社の自由に行うことができる。

⑷ 本件共同研究の実施期間は5年間とする。なお、本件共同研究とは別に、4社が単独で又は他の事業者と共同で、本件共同研究と同様の研究を行ったり、本件共同研究以外の研究を行ったりすることに対して、制限を課さない。

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(たけだ・あつし)

岩田合同法律事務所アソシエイト。2012年早稲田大学法学部卒業。2016年明治大学法科大学院修了。2018年12月検事任官。大阪地方検察庁、新潟地方検察庁、横浜地方検察庁、東京地方検察庁勤務を経て、2024年4月より「判事補及び検事の弁護士職務経験に関する法律」に基づき弁護士登録。

 

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

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1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

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