経産省、持続的な企業価値向上に関する懇談会検討結果を
「座長としての中間報告」として取りまとめ
岩田合同法律事務所
弁護士 岡 南 健太郎
1 はじめに
「伊藤レポート」公表から間もなく10年となる。「伊藤レポート」が提示した、持続的に企業価値を向上させていくためのナラティブと大局的な視点に基づく提言・推奨を受け、日本企業各社は、コーポレートガバナンス改革を進め、社外取締役の数の増加、政策保有株式の縮減、親子上場の数の減少、買収防衛策の廃止、情報開示の拡大、資本効率の重要性の意識向上などを進めてきた。しかしながら、この10年間の日本企業のパフォーマンスの伸びを見てみると、企業価値の向上を実現した企業は一部にとどまり、ROE・PBRといった指標を見る限りにおいては、米国・欧州企業と比較して差があるのが実情である。
図表1 日米欧のROE、PER、PBRの推移
出典:経産省、持続的な企業価値向上に関する懇談会「座長としての中間報告」3頁(図3)[1]
「持続的な企業価値向上に関する懇談会」(事務局:経済産業省 経済産業政策局)(以下「本懇談会」という。)は、「伊藤レポート」で提言・推奨された各課題の進捗状況を確認・分析した上で、日本企業のパフォーマンスの更なる向上のための今後の対応の方向性を検討することを目的として、2024年4月に立ち上げられた。
本稿では、本懇談会が2024年6月26日に公表した、「座長としての中間報告」(以下「本中間報告」という。)について概観する。
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(おかなみ・けんたろう)
岩田合同法律事務所弁護士。2017年東京大学法学部卒業、2019年東京大学法科大学院修了。2020年弁護士登録。会社法、金融商品取引法、労働法、M&A案件、IPO案件、訴訟案件等を中心に、企業法務全般に関する法的助言を幅広く取り扱う。
岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/
<事務所概要>
1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。
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経産省、持続的な企業価値向上に関する懇談会検討結果「座長としての中間報告」(26日)
https://www.meti.go.jp/press/2024/06/20240626001/20240626002.html