SH5058 消費者庁、家庭用都市ガスの小売供給を巡る有利誤認表示でジェイコムウエストに措置命令――「おトク」表示も原料費調整単価上昇で大阪ガス一般料金を上回る(2024/08/21)

取引法務表示・広告規制

消費者庁、家庭用都市ガスの小売供給を巡る有利誤認表示で
ジェイコムウエストに措置命令
――「おトク」表示も原料費調整単価上昇で大阪ガス一般料金を上回る――

 

 消費者庁は8月6日、ジェイコムウエスト(本店・大阪府大阪市。非上場)が供給する家庭用の都市ガスの小売供給に係る表示を巡り、同庁と公正取引委員会事務総局近畿中国四国事務所による調査結果を踏まえ、不当景品類及び不当表示防止法5条2号の有利誤認表示に該当する行為が認められたとして同法7条1項に基づき措置命令を発出した。公表は翌8月7日、消費者庁・公取委の連名により両者が行っている。

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 ジェイコムウエストはKDDI・住友商事出資によるケーブルテレビ・電気通信・電気ガス提供事業等運営のJCOM(本店・東京都千代田区)の子会社であり、同社グループにおける「地域法人」に該当する。本件発表により、2024年度(令和6年度)において不当景品類及び不当表示防止法(以下「景品表示法」という)に基づき措置命令が行われた事案としては、本年度初の公表となったエステーに対する措置命令を含めて計7件となった(エステー事案について、SH4916 消費者庁、花粉対策4商品の優良誤認表示を巡りエステーに措置命令――2023年度の法的措置件数が判明、措置命令件数は近時の平年並み(2024/05/09)既報。なお、8月8日付発出・8月9日公表の事案としてRIZAPに対する措置命令がある)。
 今般の消費者庁の認定によると、ジェイコムウエストが供給する家庭用の都市ガスの小売供給のうち「J:COMガス まとめトク料金コース」と称するガス料金を適用する小売供給(以下「本件役務」という)の取引を巡って本件役務を一般消費者に提供するにあたり、(1)2022年11月11日~2023年1月19日の間、JCOMのウェブサイトにおいて、たとえば「大阪ガスの一般料金をご契約中のご家庭で、毎月のガス使用量が16㎥を超える場合は、J:COMガスのまとめトク料金コースをご契約いただくとおトクになります」といった表示をすることにより、あたかも「毎月のガス使用量が16㎥を超える場合の本件役務のガス料金は、大阪ガス一般料金より低額であるかのように表示していた」ところ、(2)実際には、2022年11月11日~2023年1月19日の間において「本件役務のガス料金に適用される原料費調整単価が大阪ガス一般料金に適用される原料費調整単価を上回るため、月のガス使用量の多寡にかかわらず、本件役務のガス料金は大阪ガス一般料金より高額であった」とされている。
 消費者庁においては「本件役務の取引条件について、実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるため、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められる表示をしていたものであり、この表示は、景品表示法第5条第2号に該当するものであって、かかる行為は、同条の規定に違反する」と判断、本件措置命令に及んだものである(なお、家庭用電気の小売供給における有利誤認表示を巡り措置命令・課徴金納付命令に至った事案として、SH4964 消費者庁、家庭用電気の自由料金2コースに係る有利誤認表示を巡り中国電力に対して16億円余の課徴金納付命令――2023年8月30日付で景品表示法の措置命令、「おトク」表示も燃料費調整額上昇で規制料金を上回る (2024/06/05)参照)。
 措置命令によってはジェイコムウエストに対し、①上記(1)の表示が(2)のとおりであって景品表示法に違反するものであることを一般消費者に周知徹底しなければならないこと、②今後、本件役務または同種の役務の取引に関して上記(1)同様の表示が行われることの再発防止措置を講じ、自社役員・従業員に周知徹底しなければならないこと、③今後、同様の有利誤認表示をしてはならないことなどを求めている。


消費者庁・公取委、株式会社ジェイコムウエストに対する景品表示法に基づく措置命令について
https://www.caa.go.jp/notice/entry/038974/

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