最三小決令和4年2月14日 窃盗、窃盗未遂被告事件(戸倉三郎裁判長)
【判示事項】
いわゆるキャッシュカードすり替え型の窃盗罪につき実行の着手があるとされた事例
【決定要旨】
被害者に電話をかけキャッシュカードを封筒に入れて保管することが必要でありこれから訪れる者が作業を行う旨信じさせ、被害者宅を訪れる被告人が封筒に割り印をするための印鑑を被害者に取りに行かせた隙にキャッシュカード入りの封筒と偽封筒とをすり替えてキャッシュカードを窃取するという犯行計画に基づいて、すり替えの隙を生じさせる前提となり、被告人が被害者宅を訪問し虚偽の指示等を行うことに直接つながるとともに、被害者に被告人の指示等に疑問を抱かせることなくすり替えの隙を生じさせる状況を作り出すようなうそが述べられ、被告人が被害者宅付近路上まで赴いたなどの本件事実関係(判文参照)の下においては、被告人が被害者に対してキャッシュカード入りの封筒から注意をそらすための行為をしていないとしても、当該うそが述べられ被告人が被害者宅付近路上まで赴いた時点では、窃盗罪の実行の着手が既にあったと認められる。
【参照法条】
刑法43条、243条、235条
【事件番号等】
令和2年(あ)第1087号 令和4年2月14日最高裁判所決定( 刑集76巻2号101頁) 棄却
原 審:令和2年(う)第56号 仙台高裁令和2年7月14日判決
第一審:令和1年(わ)第90号、令和1年(わ)第123号、令和1年(わ)第149号、令和1年(わ)第164号、令和1年(わ)第168号、令和1年(わ)第183号、令和1年(わ)第187号、令和1年(わ)第198号、令和2年(わ)第22号 山形地裁令和2年3月26日判決
【判決文】
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=90925
【解説文】
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