SH5297 大手法律事務所の名古屋オフィス代表弁護士インタビュー 第1回 アンダーソン・毛利・友常法律事務所 佐橋雄介/(聞き手)西田章(2025/01/29)

そのほか法務組織運営、法務業界

大手法律事務所の名古屋オフィス代表弁護士インタビュー
第1回 アンダーソン・毛利・友常法律事務所

アンダーソン・毛利・友常法律事務所
弁護士 佐 橋 雄 介

(聞き手) 弁護士 西 田   章

 

 第102代内閣総理大臣に就任した石破茂氏は、2014年9月に初代の地方創生担当大臣を務めた人物でもあります。それから、10年が経過し、2024年10月4日、所信表明演説では「『地方こそ成長の主役』です。地方創生をめぐる、これまでの成果と反省を生かし、地方創生2.0として再起動させます」と述べています。これを受けて、2024年10月11日に閣議決定された「新しい地方経済・生活環境創生本部の設置について」でも「『地方こそ成長の主役』との発想に基づき、地方がそれぞれの特性に応じた発展を遂げることができるよう、日本経済成長の起爆剤として大規模な地域創生策を講ずる」という目的が掲げられています。

 弁護士業界においても、これまで東京圏での企業法務のプラクティスをリードしてきた大手法律事務所が地方にもその経験知を共有していこうという動きが見られます。この動きは、東京圏の法律事務所が行なっているプラクティスを一方的に地方に押し付けるようなものではなく、地域の法律事務所と連携した上で、地域企業が抱える法律問題の特性に応じて、お互いの有するノウハウとネットワークを総動員することによって、地域の企業にとって最適なリーガルサービスの提供を目指すものと解することができます。

 そこで、本シリーズでは、大手法律事務所の地方オフィスの代表弁護士に対するインタビューを通じて、その活動の実態に迫ってみたいと思います。その企画の始めとして、まず、4つの大手法律事務所の名古屋オフィスを取材させていただきました。愛知県を選んだ理由は、東京圏との比較において、経済規模の大きさの割に弁護士数が特に少ないように思われたからです。

(注) 内閣府が発表している県民経済計算によれば、愛知県の県内総生産(令和3年度)は、約40兆円であり、東京都(約113兆円)の約35%の経済規模を有しています。それにも関わらず、愛知県弁護士会の登録弁護士数は、約2,100名であり、東京三会(合計で約22,000人)の10%未満に留まっています。

 第1回は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所へのインタビューです(50音順)。同事務所のHPには「当事務所の名古屋オフィスは、東海地方の依頼者の皆様に、より密着した形で充実した法的サービスを提供することを目的とし」「企業法務に関するあらゆる分野について、専門性の高い業務を、当事務所のアジア・新興国の各国担当デスクや他の国内および海外オフィスの弁護士と連携して、名古屋オフィスを窓口にワンストップで提供いたします」と紹介されています。

 

インタビュー先:アンダーソン・毛利・友常法律事務所 パートナー弁護士 佐橋雄介先生

日 時:2024年10月28日

場 所:アンダーソン・毛利・友常法律事務所 名古屋オフィス会議室

聞き手:西田章

 

第1部 オフィスの概要

 
聞き手 西田
聞き手 西田

アンダーソン・毛利・友常法律事務所(AMT)は、2013年9月に、名古屋オフィスを開設されていますが、これは大阪オフィスよりも早いタイミングなのですね。

佐橋先生
佐橋先生

はい、名古屋オフィスは、当事務所初の国内ブランチです。開設時は、青柳良則弁護士が代表を務めていました。
東海地方にも日本を代表する企業がたくさんありますので、東海地方のクライアントの皆様に、より密着した形で充実した法的サービスを提供することを目的として名古屋オフィスを設立しました。

聞き手 西田
聞き手 西田

青柳先生は異動されたのですか。

佐橋先生
佐橋先生

いえ、青柳弁護士は、現在でも名古屋オフィス所属のパートナーとして業務に従事しています。代表の交代は、事業の継続性や後継者育成の観点から行われているもので、私も、いずれは代表を退いて、より若い世代に代表の地位を譲ることになります。

聞き手 西田
聞き手 西田

現在の名古屋オフィスの人員はどの程度でしょうか。

佐橋先生
佐橋先生

弁護士が合計で7名*所属しています。
パートナーは、M&A、コーポレートを専門とする青柳良則弁護士、テクノロジーと知的財産、ライセンス契約等を専門とする清水亘弁護士と私の3名です。
それに加えて、スペシャル・カウンセルが2名、アソシエイトが2名*所属しています。

* 本インタビュー記事掲載日時点で、アソシエイト1名は海外研修中です。

聞き手 西田
聞き手 西田

みなさん、お忙しくされているのですか。

佐橋先生
佐橋先生

はい、おかげさまで継続的に案件をいただいており、忙しくさせていただいております。

聞き手 西田
聞き手 西田

マンパワーを確保するためには、今後もさらなる拡大を予定されているのでしょうか。

佐橋先生
佐橋先生

必ずしもそうとは限りません。と言いますのも、マンパワーが足りるかどうかは、どういうチーム編成で案件に対応するかによるからです。
私共は、常に名古屋オフィス単独でチームを編成しているわけではなく、案件に応じて、東京オフィス、大阪オフィス、海外オフィスの弁護士と連携して案件に取り組んでいます。そのため、名古屋オフィス所属の弁護士を増やさなければ、ご依頼に応じたマンパワーを確保できない、というわけではありません。
拙速にオフィスを拡大するのではなく、「良い人がいれば、その都度、名古屋オフィスに来ていただくことで自然にオフィスが大きくなっていく」という方針での拡大を考えています。

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