米トランプ政権による関税措置:最大25%の対中国・カナダ・メキシコ追加関税の発表および最新の動向
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 髙 嵜 直 子
弁護士 田 村 允
1 はじめに
米国のトランプ大統領は、2025年2月1日、不法移民およびフェンタニルなどの薬物による重大な脅威が、国家緊急事態法(National Emergencies Act)上の「国家緊急事態」に該当すると宣言し、国際緊急経済権限法(IEEPA:International Emergency Economic Powers Act)に基づき、カナダ、メキシコ各国に対して最大25%、中国に対して10%の追加関税を課す大統領令(以下「本大統領令」と総称する。)を発表した[1][2][3]。中国産品に対する追加関税は2月4日から適用が開始され、中国産品を米国に輸出する日本企業も対応が求められる。一方、カナダおよびメキシコに対する関税賦課開始は3月4日まで延期され[4][5]、各国と米国の間での協議が継続中である。その間、その他の関税措置も次々と発表され、予見困難な状況が続く。
本稿では、本大統領令の法的な位置づけと具体的措置の内容を検証するとともに、今後の影響について分析する。なお、状況は流動的であり、米国の関税については常に最新の情報を参照されたい。
この記事はプレミアム向け有料記事です
続きはログインしてご覧ください
(たかさき・なおこ)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所スペシャルカウンセル。2004年東京大学法学部卒業。2006年東京大学法科大学院卒業。2007年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2012年Stanford School of Law(LL.M.)修了。2013年ニューヨーク州弁護士登録。インドネシア及びシンガポールの大手法律事務所、経済産業省通商政策局国際経済紛争対策室への出向経験を有する。主な業務取扱分野は、WTO/国際通商法務、海外事業展開の支援等。
(たむら・じょう)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2020年慶應義塾大学法学部法律学科卒業。2022年パリ政治学院公共政策大学院(Master in European Affairs)・シンガポール国立大学リークアンユー公共政策大学院(MPP)修了。2023年弁護士登録(第二東京弁護士会)。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ハノイ、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国およびロンドン、ブリュッセルに拠点を有する。
<連絡先>
〒100-8136 東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング
* 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用