SH5377 最判令和7年3月3日(ドワンゴ対FC2事件上告審)―― 国外サーバからのファイル配信行為に関し、システム発明の「生産」該当性を肯定 後藤未来/吉田崇裕(2025/03/28)

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最判令和7年3月3日(ドワンゴ対FC2事件上告審)
―― 国外サーバからのファイル配信行為に関し、システム発明の「生産」該当性を肯定――

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 後 藤 未 来

弁護士 吉 田 崇 裕

 

1 はじめに

 最高裁判所は、2025年3月3日、日本国外に存在するサーバと日本国内のユーザ端末によってシステムを作り出す行為について、具体的事情によっては特許法2条3項1号所定の「生産」に該当し得る旨を判示し、原判決(知財高裁大合議)の判断を是認(上告棄却)する判決(以下「本最高裁判決」という。)を下した[1]

 本件は、コメント機能付き動画配信の方法等に関して複数の特許権を有する株式会社ドワンゴ(以下「ドワンゴ」という。)が、「FC2動画」等の動画配信サービス(以下「FC2サービス」という。)を提供するFC2, INC.(以下「FC2」という。)らに対して、FC2のコメント配信システム(以下「FC2システム」という。)の特許権侵害に基づく差止めおよび損害賠償を求めて提起した一連の事件の一つである。

 本最高裁判決は、知財高判令和4年(ネ)第10046号(以下「原判決」という。)[2]の判断を正当として是認するものであるところ、原判決の詳細については筆者らの前稿[3][4]をご覧いただきたい。

 本稿では、本件の概要や第一審判決および原判決の概要を説明した上で、本判決の判示内容を紹介する。

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(ごとう・みき)


アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー、弁護士・ニューヨーク州弁護士。理学・工学のバックグラウンドを有し、知的財産や各種テクノロジー(IT、データ、エレクトロニクス、ヘルスケア等)、ゲーム等のエンタテインメントに関わる案件を幅広く取り扱っている。ALB Asia Super 50 TMT Lawyers(2021、2022)、Chambers Global(IP分野)ほか選出多数。AIPPIトレードシークレット常設委員会副議長、日本ライセンス協会理事。

 

(よしだ・たかひろ)


アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2018年東京大学工学部卒業。2020年東京大学大学院情報理工学系研究科数理情報学専攻修士課程修了。2022年弁護士登録(第二東京弁護士会)。

 

 

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