経産省・個人情報委、グローバル越境プライバシールール(CBPR)システムの開始
アンダーソン・毛利・友常法律事務所*
弁護士 井 上 乾 介
弁護士 大 部 実 奈
弁護士 福 山 和 貴
1 はじめに
越境プライバシールール(CBPR: Cross-Border Privacy Rules)とは、越境する個人データに関して、企業等が一定の保護要件を満たしていることを国際的に認証する制度であり、これまでAPEC(Asia Pacific Economic Cooperation)において実施されてきた(以下「APEC CBPRシステム」という。)。
より広範囲での個人データの円滑な越境移転や各国における規律の相互運用性を促進させること等を目的として、2022年4月に、世界中の国および地域が参加可能な枠組みの「グローバルCBPRフォーラム」(以下「フォーラム」という。)が創設された。
そして、2024年4月には、フォーラムが「グローバルCBPRシステム」の稼働に必要な文書を公表し、2025年6月2日に、フォーラムが認証付与を開始し、グローバルCBPRシステムが正式に稼働を開始した[1]。
本稿では、APEC CBPRシステムの概要を紹介するとともに、グローバルCBPRシステムの設立経緯等について論ずる。
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(いのうえ・けんすけ)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所 スペシャル・カウンセル。2004年一橋大学法学部卒業。2007年慶応義塾大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録(東京弁護士会)。2016年カリフォルニア大学バークレー校・ロースクール(LL.M.)修了。2017年カリフォルニア州弁護士登録。著作権法をはじめとする知的財産法、個人情報保護法をはじめとする各国データ保護法を専門とする。
(おおぶ・みな)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2011年東京大学法学部卒業。2013年東京大学法科大学院卒業。2015年弁護士登録(第一東京弁護士会)。2020年コロンビア・ロースクール(LL.M.)修了。2021年ニューヨーク州弁護士登録。
(ふくやま・かずき)
アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。一橋大学法学部・一橋大学法科大学院卒業。2022年弁護士登録(第一東京弁護士会)。
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/
<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ハノイ、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国およびロンドン、ブリュッセルに拠点を有する。
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