経産省・環境省、旭化成ホームズの引取りエアコン処理を巡り家電リサイクル法に基づく勧告・報告徴収
――2千台余の不適正な引渡し、毎月の引取り・引渡し状況とともに四半期ごとの再発防止策実施状況について報告を求める――
経済産業省イノベーション・環境局資源循環経済課と環境省環境再生・資源循環局総務課資源循環ビジネス推進室は6月27日、旭化成ホームズ(本店・東京都千代田区。旭化成〔東証プライム市場上場〕の100%子会社)において、排出者(消費者等)から引き取ったエアコン(特定家庭用機器)計2,364台について自社または委託先事業者からいわゆる「不用品回収業者」「スクラップヤード業者」などへの不適正な引渡しが行われていたとし、特定家庭用機器再商品化法(平成10年法律第97号)16条1項・52条に基づき、再商品化等を行う「製造業者等」に引き渡すことを勧告するとともに同社の全事業所の本年7月からの1年間における毎月の引取り・引渡し状況などに関する報告徴収を行ったと発表した。
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特定家庭用機器再商品化法(以下「家電リサイクル法」という)では対象となる特定家庭用機器が政令指定され(同法2条4項)、特定家庭用機器再商品化法施行令1条各号が(イ)一定のユニット形エアコンディショナー、(ロ)一定のテレビジョン受信機、(ハ)電気冷蔵庫・電気冷凍庫、(ニ)電気洗濯機・衣類乾燥機を定めている。これらのいわゆる廃家電4品目について、家電リサイクル法上の小売業者には(α)「自らが過去に小売販売をした特定家庭用機器に係る特定家庭用機器廃棄物の引取りを求められたとき」「特定家庭用機器の小売販売に際し、同種の特定家庭用機器に係る特定家庭用機器廃棄物の引取りを求められたとき」において排出者からの引取義務が定められており(家電リサイクル法9条)、一方(β)引き取った際には一定の場合を除き「当該特定家庭用機器廃棄物を引き取るべき製造業者等」「当該製造業者等が存しないとき……は、……指定法人」に「当該特定家庭用機器廃棄物を引き渡さなければならない」とする引渡義務が課せられている(同法10条)。
経産省・環境省においては2023年3月23日、賃貸物件オーナーに家電4品目を販売するレオパレス21から「家電リサイクル法上の小売業者に該当するか否かの疑義照会を受けたことなどをきっかけ」として両省が立入検査を行ったところ「賃貸物件オーナーから排出された廃家電4品目について、同社が家電リサイクル法の小売業者としての引取義務を果たしていないことが判明」したとして家電リサイクル法9条に基づく小売業者の引取義務違反を認定し、同日付で勧告・報告徴収を行ったと発表。同社では2020年4月以降、テレビ4,616台、冷蔵庫18,290台、洗濯機10,146台、エアコン66,388台について小売業者としての引取義務を果たしていなかったとされた。なお、本事案を巡っては「家電リサイクル法に基づく廃家電4品目の適正な引取り及び引渡し」について賃貸管理業の業界団体等を通じた周知徹底を図っていく旨がアナウンスされたところである。
経産省・環境省は今般、旭化成ホームズに対して2025年4月16日、全事業所における廃家電4品目の引取り・引渡しの状況について家電リサイクル法52条に基づく報告徴収を実施。同社から同年5月15日、東京オーナーサービス部など6事業所において、排出者から引き取ったエアコン計2,364台につき「自社又は委託先事業者において製造業者等以外の者(いわゆる不用品回収業者やスクラップヤード業者など)への不適正な引渡し等が行われていたとの報告を受け」た。本事案に係る複数の報道によると、当該エアコンの不用品回収業者などへの引渡しは2020年から2024年にかけてなされていたとされる。
経産省・環境省は旭化成ホームズにおける当該エアコンの管理・処理が家電リサイクル法10条の引渡義務違反に該当すると判断。6月27日付で上述の勧告を行うとともに、本年(2025年)7月からの1年間における次の報告徴収を行ったものである。(1)全事業所(支店等)の毎月の特定家庭用機器廃棄物の①引取り、②引渡しの状況、(2)①特定家庭用機器廃棄物管理票の適切な運用、②委託先の管理体制の構築、③コンプライアンス体制の強化を含む家電リサイクル法違反についての再発防止策の四半期ごとの実施状況。
環境省、家電リサイクル法に基づく引渡義務違反に係る勧告