積水ハウス、「分譲マンション用地の取引事故に関する総括検証報告書」を公表
岩田合同法律事務所
弁護士 冨 田 雄 介
1 はじめに
積水ハウス株式会社(以下「積水ハウス」という。)は、2017年、地面師グループによる分譲マンション用地(以下「本件土地」という。)の取引に係る詐欺により約55億円の損害を被った(以下「本件事故」という。)。
その後、積水ハウスは、本件事故について、社外役員を中心とする調査対策委員会(以下「2017年調査委員会」という。)による内部調査を行い、経緯や再発防止等についての概括的な開示を行ったものの、その調査報告書(以下「2018年調査報告書」という。)を含め、本件事故の事実経緯、原因分析、再発防止策等の詳細は公表しなかったことから、こうした情報開示の姿勢を疑問視する声もあった。
かかる経緯の下、積水ハウスは、地面師グループに対し有罪判決が言い渡されたことなども踏まえ、外部弁護士により構成される総括検証委員会に本件事故等の総括検証を委嘱し、2020年12月7日、当該委員会による総括検証報告書(以下「本報告書」という。)を公表した。
本報告書では、主に、①本件事故の原因分析及び積水ハウスの再発防止策の検証、②本件事故発覚後の積水ハウスの対応の検証が行われている。
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(とみた・ゆうすけ)
岩田合同法律事務所パートナー。2010年弁護士登録。2014年10月から2016年9月まで三井住友信託銀行株式会社勤務。争訟解決業務、金融機関関連業務、株主総会関連を含めたジェネラルコーポレート、競争法関連業務等を手掛ける。『Q&A 家事事件と銀行実務』(共著、日本加除出版、2013年)、『Q&Aインターネットバンキング』(共著 金融財政事情研究会 2014年)、『業種別ビジネス契約書作成マニュアル』(日本加除出版、2015年)等著作・論文多数。
岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/
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1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。
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