SH3898 東証、コーポレートガバナンス・コードへの対応状況 青木晋治(2022/02/04)

組織法務経営・コーポレートガバナンス

東証、コーポレートガバナンス・コードへの対応状況

岩田合同法律事務所

弁護士 青 木 晋 治

 

1 はじめに

 2022年1月26日、株式会社東京証券取引所(以下「東証」という。)は、2021年6月に実施したコーポレートガバナンス・コードの改訂(以下「改訂CGコード」という。)を受けて、2021年12月末までに上場会社から提出された「コーポレート・ガバナンスに関する報告書」(以下「ガバナンス報告書」という。)に基づき、改訂CGコードの各原則にかかる対応状況について、その集計結果を公表した。

 改訂CGコードにおいて、変更・新設された原則は16原則であるが、東証の集計によれば、そのコンプライの率は、100%に近い原則もあるものの、その多くが60~80%台であった。

 なお、2022年4月から新市場区分の適用が開始されるところ、プライム市場上場会社向けの改訂コードの内容は、新市場区分移行後、最初に到来する定時株主総会後に提出するガバナンス報告書から適用されるため、今回の集計においては考慮されていない。

 

2 主なコード改訂内容への対応状況

 改訂CGコードにおける主要課題としては、①取締役会の機能発揮、②企業の中核人材における多様性の確保、③サステナビリティを巡る課題への取組み、④その他の事項があるが、とりわけ、東証第一部においてもコンプライの率が6割から7割の前半に留まっている原則は以下の事項である。これらの事項については、改訂CGコードの実施からガバナンス報告の提出期限までが半年程度であったことに鑑み、検討・準備が間に合わなかったことが影響していると思われるが、未達の企業にとっては引き続き検討事項となるといえよう。

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(あおき・しんじ)

岩田合同法律事務所パートナー。2007年慶應義塾大学法科大学院卒業。2008年弁護士登録。『新商事判例便覧』(共著、旬刊商事法務、2014年4月25日号~)、『Q&A 家事事件と銀行実務』(共著、日本加除出版、2013年)、『民事再生手続における取立委任手形にかかる商事留置権の効力』(共著、NBL969号、2012年)、「金融ADRから学ぶ実務対応」(共著、銀行実務2012年10月号)(共著、金融財政事情研究会、2014年)等著作多数。

岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/

<事務所概要>
1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。

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