SH4328 情報信託機能の認定スキームの在り方に関する検討会 要配慮個人情報の取扱いに関する議論の動向 後藤未来/伊藤雄太(2023/02/27)

取引法務個人情報保護法

情報信託機能の認定スキームの在り方に関する検討会
要配慮個人情報の取扱いに関する議論の動向

アンダーソン・毛利・友常法律事務所*

弁護士 後 藤 未 来

弁護士 伊 藤 雄 太

 

1 はじめに

 いわゆる「情報銀行」にかかる認定基準等を定めた「情報信託機能の認定に係る指針」(以下「認定指針」という。)の初版(ver1.0)[1]が2018年に公表されて以降、同認定指針のその後の改訂版においても、要配慮個人情報[2]はその対象外とされてきた。他方で、健康・医療分野における要配慮個人情報については、利用者個人や社会のために活用するニーズが高いとの認識のもと、2022年、総務省の「情報信託機能の認定スキームの在り方に関する検討会」[3]の「要配慮個人情報ワーキンググループ」において、認定指針の対象とするための検討が開始されることとなった。「要配慮個人情報ワーキンググループ」では、これまでのところ、2022年11月7日、2023年1月20日にそれぞれ第1回・第2回の検討会(以下「本検討会」という。)が開催された[4][5]

 本稿では、本検討会における議論の状況等について概観する。

出典:総務省地域通信振興課「情報銀行の取組」(2022年1月)[6] 3頁

 

2 「情報銀行」と「認定指針」

 上図にあるように、「情報銀行」は、国の定めた基準を満たす信頼できる主体として、個⼈の委任を受け、その個⼈に関するパーソナルデータを管理するとともに、個⼈が同意した⼀定の範囲において第三者提供するものであり、その普及により、新規サービスの創出や国⺠⽣活の利便性の向上などが期待されている。

 「認定指針」は、情報銀行の認定の仕組を有効に機能させるために策定されたものであり、一定の水準を満たす「情報銀行」を民間団体等が認定するに当たっての「認定基準」や、「モデル約款の記載事項」、「認定スキーム」等から構成される。

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(ごとう・みき)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所パートナー、弁護士・ニューヨーク州弁護士。理学・工学のバックグラウンドを有し、知的財産や各種テクノロジー(IT、データ、エレクトロニクス、ヘルスケア等)、ゲーム等のエンタテインメントに関わる案件を幅広く取り扱っている。ALB Asia Super 50 TMT Lawyers(2021、2022)、Chambers Global(IP分野)ほか選出多数。AIPPIトレードシークレット常設委員会副議長、日本ライセンス協会理事。

 

(いとう・ゆうた)

アンダーソン・毛利・友常法律事務所アソシエイト。2017年東京大学法学部卒業。2019年東京大学法科大学院卒業。2020年弁護士登録(第一東京弁護士会)。

 

アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業 https://www.amt-law.com/

<事務所概要>
アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業は、日本における本格的国際法律事務所の草分け的存在からスタートして現在に至る、総合法律事務所である。コーポレート・M&A、ファイナンス、キャピタル・マーケッツ、知的財産、労働、紛争解決、事業再生等、企業活動に関連するあらゆる分野に関して、豊富な実績を有する数多くの専門家を擁している。国内では東京、大阪、名古屋に拠点を有し、海外では北京、上海、香港、シンガポール、ホーチミン、バンコク、ジャカルタ等のアジア諸国に拠点を有する。

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* 「アンダーソン・毛利・友常法律事務所」は、アンダーソン・毛利・友常法律事務所外国法共同事業および弁護士法人アンダーソン・毛利・友常法律事務所を含むグループの総称として使用

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