金融庁、令和4年12月27日公表「金融審議会ディスクロージャ―ワーキング・グループ報告」の解説
岩田合同法律事務所
弁護士 辛 島 聡
1 はじめに
金融庁の金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループでは、昨年6月に、サステナビリティ情報等の開示充実や四半期開示見直しに係る施策を取りまとめた報告書を公表した。そこでは、金融商品取引法上の四半期開示義務(第1・第3四半期)を廃止し取引所の四半期決算短信に一本化する方向性が示されたが、その具体化に向けた課題や、サステナビリティ開示に関する我が国サステナビリティ基準委員会(SSBJ)の役割の明確化等につき引き続き検討することとされた。これを受け、同年10月から、引き続き同グループにおいてこれらの課題につき検討され、第4回の会議における報告書案の審議を経て、同年12月27日に、新たな「金融審議会ディスクロージャーワーキング・グループ報告」が公表されている。本稿ではその内容を解説する。
2 四半期開示をはじめとする情報開示の頻度及びタイミング
⑴ 四半期開示の見直し
四半期決算短信への一本化の具体化に当たっては、四半期開示を含めた期中開示全体を俯瞰した検討が重要とされる。すなわち、投資家の投資判断においては、四半期のタイミングに限らず、企業が都度発信する情報の重要性が高まっており、将来的には、適時の情報開示に重点を置いた枠組みへと見直していくことも考えられるとされる。
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(からしま・さとし)
岩田合同法律事務所弁護士。1989年早稲田大学法学部卒業。1993年弁護士登録。1997年コロンビア・ロー・スクール修了(LL.M.)。1998年米国NY州弁護士登録。金商法・会社法を中心とした証券業務・企業法務全般を取り扱う。
岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/
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1902年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。
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