SH2186 企業法務フロンティア「システム開発契約からAIシステム開発契約へ」 西本 強(2018/11/09)

そのほか契約書作成・管理法務組織運営、法務業界

企業法務フロンティア
システム開発契約からAIシステム開発契約へ
――「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」の公表を踏まえて――

日比谷パーク法律事務所

弁護士 西 本   強

 

 AI技術が、産業に利用可能な技術として急速に発展・普及している。毎日、AIを利用した新サービスの発表が行われており、「AI」という言葉が新聞を賑わせない日はない。

 AI技術の発展・普及については、国を挙げた支援が行われており、重要な政策の一つになっている。経済産業省では、我が国の産業が目指すべきコンセプトとして、人、モノ、技術、組織等が様々につながることにより新たな価値創出を図る「Connected Industries」が提唱されており、2017年10月には、「『Connected Industries』東京イニシアティブ2017」が公表されている。そこでは「自動走行・モビリティサービス」や「ものづくり・ロボティクス」などの重点取組5分野が特定され、それぞれの施策が検討されているとともに、横断的な政策として、リアルデータの共有・利活用のための支援等が実施されている。それだけデータの重要性が高まっているのである。

 経済産業省は、こうした「Connected Industries」を実現するための横断的な政策の一つとして、2018年6月15日、「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」を公表した。このガイドラインは、「データ編」と「AI編」の二部構成であり、両方合わせて350頁を超える大作となっている。但し、法的拘束力を有するものではなく、契約当事者が参考とすべき手引きという位置付けである。

 「データ編」は、近時、取引に関連するデータが爆発的に増加しており、かつ、データそのものがAIを活用することなどによって大きな価値を有するものとなっている状況を踏まえ、データ・オーナーシップの問題をはじめとする諸問題を整理した上で、「データ提供型」契約、「データ創出型」契約、「データ共用型(プラットフォーム型)」契約という3つの契約類型について検討し、前2者のモデル契約書を提示している。

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