SH2603 厚労省、副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会(第7回)を開催 平井裕人(2019/06/13)

そのほか労働法

厚労省、副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する
検討会(第7回)を開催

岩田合同法律事務所

弁護士 平 井 裕 人

 

1 はじめに

 厚生労働省は、令和元年6月4日、「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会」(以下、「本検討会」という)を開催した(第7回)。

 後述する通り、副業・兼業を希望する労働者の増加等から、本検討会開催以前より副業・兼業を促進するための検討が進められていた。本稿では、副業・兼業の現行の法的規制の内容および副業・兼業を阻害している要因に触れながら、現在までに加えられている検討の流れおよび今後の検討により向かう先について簡単に紹介したい。

 

2 副業・兼業の現行規制の内容‐原則自由・例外的に禁止

 副業・兼職について、現行法上明文の規制はない。それどころか、労働時間以外の時間をどのように利用するかは、本来労働者の自由である(憲法22条1項)。そのため、副業・兼職も、原則として労働者の自由である。

 但し、副業・兼職が本業における使用者の正当な利益を害する場合がある。労働者の自由も無制約ではないため、本業の企業に対する労務提供上の支障となる場合、本業の企業の経営秩序を害する場合や、本業の企業の対外的信用、体面が傷つけられる場合等、使用者に正当な利益が認められる場合においては、これを確保する限度で制限され得る(各社就業規則の記載もそのように解釈される。)[1]。特に、競業が問題となる場合には、厳しく制限されている[2]

 したがって、副業・兼業は本来自由であるが、例外的に禁じられる場合があるというのが現行の規制内容である。

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