東証、「四半期開示の見直しに関する実務検討会」を設置
岩田合同法律事務所
弁護士 西 野 雅 人
1 はじめに
政府は、金融商品取引法(以下「金商法」という。)上の四半期報告書(第1四半期、第3四半期)を廃止し、証券取引所規則に基づく四半期決算短信(以下「決算短信」という。)に一本化することを盛り込んだ金商法改正案について、与野党が対決した法案の成立遅れなどの影響を受けたため、今国会での成立を見送った。かかる一本化は、両者の内容面での重複を解消するとともに、企業におけるコスト削減や開示の効率化を図るといった観点から企業開示制度を見直すものであり、新制度の開始は、令和6年4月1日を予定しているが、法案の成立時期によっては延期される可能性も
ある[1]。
図1 内容面の重複に加え、提出企業2280社のうち、約65%に当たる1481社の提出日の差が5日以内であり、開示のタイミングが近接していることも一本化を進める理由の一つとなった(東京証券取引所「四半期開示の見直しに関する実務検討会第1回事務局説明資料」13頁)。
同改正案は、早ければ今秋の臨時国会で成立する可能性があるところ[2]、東京証券取引所は、新制度開始に間に合うよう、あらかじめ実務的な検討を行うなどの目的から、学識経験者や市場関係者等の有識者で構成する「四半期開示の見直しに関する実務検討会」(以下「本検討会」という。)を立ち上げ、令和5年6月29日、第1回の本検討会を開催した。
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(にしの・まさと)
岩田合同法律事務所所属。2012年中央大学法学部卒業。2014年日本大学法科大学院修了。2017年12月検事任官。大阪地方検察庁、さいたま地方検察庁川越支部、千葉地方検察庁、東京地方検察庁勤務を経て、2023年4月「判事補及び検事の弁護士職務経験に関する法律」に基づき弁護士登録。
岩田合同法律事務所 http://www.iwatagodo.com/
<事務所概要>
1902 年、故岩田宙造弁護士(後に司法大臣、貴族院議員、日本弁護士連合会会長等を歴任)により創立。爾来、一貫して企業法務の分野を歩んできた、我が国において最も歴史ある法律事務所の一つ。設立当初より、政府系銀行、都市銀行、地方銀行、信託銀行、地域金融機関、保険会社、金融商品取引業者、商社、電力会社、重電機メーカー、素材メーカー、印刷、製紙、不動産、建設、食品会社等、我が国の代表的な企業等の法律顧問として、多数の企業法務案件に関与している。
<連絡先>
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東証、四半期開示の見直しに関する実務検討会(第1回)資料https://www.jpx.co.jp/equities/improvements/quarterly-disclosure/index.html