公取委、「11条ガイドライン」および
「債務の株式化ガイドライン」を改定・施行
――銀行の事業再生会社の議決権保有に係る認可――
公正取引委員会は10月15日、「独占禁止法第11条の規定による銀行又は保険会社の議決権の保有等の認可についての考え方」(以下「11条ガイドライン」)および「債務の株式化に係る独占禁止法第11条の規定による認可についての考え方」(以下「債務の株式化ガイドライン」)を改定し、施行した。
「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」(昭和22年法律第54号。以下「独占禁止法」)11条は、銀行または保険会社が他の国内の会社の議決権を5%(保険会社の場合は10%。以下同じ)を超えて取得し、または保有(以下「保有等」)することを原則として禁止しているが、あらかじめ同条に基づく公取委の認可を受けた場合等は、5%を超えて保有等することができるとしている。公取委は、平成14年11月に「11条ガイドライン」および「債務の株式化ガイドライン」を公表し、認可に係る考え方を明らかにしているところである。
公取委では、今般、「規制改革実施計画」(令和元年6月21日閣議決定)を踏まえ、銀行の事業再生会社の議決権保有に係る認可に関して、「11条ガイドライン」および「債務の株式化ガイドライン」を改定することとし、8月7日に改定案を公表し、9月10日まで関係各方面から意見を募集した。その上で、10月15日に正式に改定を決定し、同日施行したものである。
今回の改定の概要は、以下のとおりである。
1「11条ガイドライン」の改定
改正前は、銀行が事業再生会社の5%超の議決権を保有等することとなる場合において、裁判所の関与があれば、原則として3年(当該事業再生会社が中小企業であれば原則として5年)を限度として認可することとしていた。
本改定では、同様の場合において、銀行等の支援等を織り込んだ合理的な経営改善計画が作成されている場合であって、銀行等以外の第三者が当該計画に関与していれば、原則として3年(当該事業再生会社が中小企業であれば原則として10年)を限度として認可することとした。
2「債務の株式化ガイドライン」の改定
改正前は、銀行が、債務の株式化により、事業再生会社の5%超の議決権を保有等することとなる場合において、裁判所の関与等があれば、原則として2年(当該事業再生会社が中小企業である場合は原則として4年)を限度として認可することとしていた。
本改定では、同様の場合において、銀行等の支援等を織り込んだ合理的な経営改善計画が作成されている場合であって、銀行等以外の第三者が当該計画に関与していれば、原則として2年(当該事業再生会社が中小企業である場合は原則として9年)を限度として認可することとした。
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公取委、「独占禁止法第11条の規定による銀行又は保険会社の議決権の保有等の認可についての考え方」及び「債務の株式化に係る独占禁止法第11条の規定による認可についての考え方」の改定(10月15日)
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2019/oct/191015_11gl.html -
○ 独占禁止法第11条の規定による銀行又は保険会社の議決権の保有等の認可についての考え方」及び「債務の株式化に係る独占禁止法第11条の規定による認可についての考え方」の改定について
https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2019/10/191015kekka.pdf -
○(別紙1)11条ガイドライン新旧対照表
https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2019/10/1_11gl_sinkyu.pdf -
○(別紙2)債務の株式化ガイドライン新旧対照表
https://portal.shojihomu.co.jp/wp-content/uploads/2019/10/2_saimukabusikika_sinnkyu.pdf -
○(意見募集時)「独占禁止法第11条の規定による銀行又は保険会社の議決権の保有等の認可についての考え方」及び「債務の株式化に係る独占禁止法第11条の規定による認可についての考え方」の改定案に対する意見募集について(8月7日)
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2019/aug/190807_kaisei11.html