◇SH2997◇経産省、消費税の転嫁状況に関するモニタリング調査(令和元年11月調査)の結果を公表――「全て転嫁できている」事業者は、事業者間取引で88.1%、消費者向け取引で76.3%に(2020/02/05)

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経産省、消費税の転嫁状況に関するモニタリング調査(令和元年11月調査)の結果を公表

――「全て転嫁できている」事業者は、事業者間取引で88.1%、消費者向け取引で76.3%に――

 

 経済産業省は1月22日、消費税の転嫁状況に関するモニタリング調査(令和元年11月調査)の結果を取りまとめ、公表した。

 経産省では、平成26年4月の消費税率引上げを踏まえ、転嫁状況を定期的にモニタリングするため、転嫁状況に関する事業者へのアンケート調査を平成26年4月から実施しているものである。経産省は、今回の調査結果等も踏まえて、引き続き、転嫁状況の監視・取締りなどを通じ、転嫁拒否行為の未然防止を図るとともに、違反行為に対しては厳格に対処していくこととしている。

 今回の調査結果の概要は、次のとおりである。

 

事業者間取引(BtoB)

  1. ① 価格転嫁の状況
  2.   消費税率の引上げに関する価格転嫁の状況については、88.1%(前回比1.2ポイント増)の事業者が「全て転嫁できている」と回答し、「全く転嫁できていない」と回答した事業者は1.8%(前回比0.5ポイント減)であった。
    業種別に見ると、「全て転嫁できている」と回答した事業者の割合が高かったのは、建設業が94.6%、卸売業が93.9%、運輸業、郵便業が93.5%となった一方、サービス業は82.1%であった。
     
  3. ② 価格転嫁ができた理由【価格転嫁の状況について「全て転嫁できている」と回答した事業者が最大2つまで回答】
  4.   62.3%の事業者が「以前より消費税の転嫁への理解が定着しているため」と回答し、「消費税転嫁対策特別措置法により消費税転嫁拒否行為が禁止されているため」が29.6%、「本体価格と消費税額を分けることにより交渉しやすくなったため」が18.9%となった。
     
  5. ③ 価格転嫁ができていない理由【価格転嫁の状況について「一部転嫁できている」、「全く転嫁できていない」と回答した事業者が最大2つまで回答】
  6.   38.1%の事業者が「自社商品等の競争が激しく価格を引上げると他社に取引を奪われるおそれがあるため」と回答し、「取引先の業界の景気が悪く値上げを受け入れる余裕がないと考えられるため」が22.6%、「取引先との力関係で立場が弱かったため」が20.0%、「取引先において、消費税転嫁対策特別措置法の趣旨を理解していないなど、消費税率引上げ分を値上げするという意識がそもそも欠如しているため」が15.2%となった。
     
  7. ④ 価格転嫁についての合意【価格転嫁の状況について「一部転嫁できている」、「全く転嫁できていない」と回答した事業者が回答】
  8.   56.5%の事業者が「納得できないが、仕事を継続したいため、やむなく受け入れている」と回答した一方、「納得している」が38.9%、「全く納得できない」は4.6%となった。
     
  9. ⑤ 取引先との協議【価格転嫁についての合意で「納得できないが、仕事を継続したいため、やむなく受け入れている」、「全く納得できない」と回答した事業者が回答】
  10.   59.2%の事業者が「協議はなかった」と回答し、「協議はあったが不十分だった」が27.3%で、「協議があった」は13.5%となった。
     
  11. ⑥ 取引先から受けた転嫁拒否行為【価格転嫁の状況について「一部転嫁できている」、「全く転嫁できていない」と回答した事業者が複数回答】
  12.   回答した244社の事業者のうち、「本体価格での交渉に応じてもらえなかった」と回答した事業者が34.4%、「価格の交渉時に、消費税率引上げ分の全部又は一部を上乗せしないとされた」が33.2%、「代金の支払い時に、消費税率引上げ分の全部又は一部を上乗せしないとされた」が31.6%となった。

 

消費者向け取引(BtoC)

  1. ① 価格転嫁の状況
  2.   消費税率の引上げに関する価格転嫁の状況については、76.3%(前回比0.3ポイント減)の事業者が「全て転嫁できている」と回答し、「全く転嫁できていない」と回答した事業者は3.3%(前回比0.3ポイント減)であった。
     業種別に見ると、「全て転嫁できている」と回答した事業者の割合が高かったのは、建設業が91.3%、卸売業が88.1%、製造業が87.3%となった一方、サービス業は67.3%にとどまった。
     
  3. ② 価格転嫁ができた理由【価格転嫁の状況について「全て転嫁できている」と回答した事業者が最大2つまで回答】
  4.   71.5%の事業者が「消費者において消費税率引上げの意義等に対する理解が浸透しているため」と回答し、「本体価格と消費税額を分けて記載することにより、値上げへの反発が和らいだため」が22.5%となった。
     
  5. ③ 価格転嫁ができていない理由【価格転嫁の状況について「一部転嫁できている」、「全く転嫁できていない」と回答した事業者が最大2つまで回答】
  6.   41.5%の事業者が「景気が回復しておらず消費者の財布のひもが固いため」と回答し、「自社商品等の競争が激しく価格を引上げると他社商品に乗り換えられてしまうおそれがあるため」が33.4%、「消費者から便乗値上げと誤解されるおそれがあるため」が19.1%となった。

 

  1. 経産省、中企庁、消費税の転嫁状況に関するモニタリング調査(11月調査)の調査結果を取りまとめました(1月22日)
    https://www.meti.go.jp/press/2019/01/20200122004/20200122004.html
  2. ○ 消費税の転嫁状況に関するモニタリング調査(11月調査)の結果について
    https://www.meti.go.jp/press/2019/01/20200122004/20200122004-1.pdf
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