◇SH0697◇企業内弁護士の多様な在り方(第23回)-第8 企業内弁護士の「仕事の内容」(下) 吉田哲郎(2016/06/15)

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企業内弁護士の多様な在り方(第23回)

-第8 企業内弁護士の「仕事の内容」(下)

明治安田生命保険法務部上席法務役

弁護士 吉 田 哲 郎

第8 企業内弁護士の「仕事の内容」

3  企業法務の仕事の内容―国内法務と海外法務

    少し視点を変えて国内法務と海外法務について言及する。

    企業法務の仕事としては、通常は、国内法務に限られ、海外の支店・現地法人の法律問題は所在国の法律事務所に委任することになる。ただし、外国法人との一般取引の英文契約書(出向・派遣契約書等を含む。)は本邦の法務部門で作成・審査(作成は国際部門であることも多い。)することになろう。他方で、海外の支店・現地法人の法律問題についても、一元管理して対応する場合もあるかもしれない。

    海外進出のためのM&Aなどは、デュー・ディリジェンス、各種契約の作成・チェック・交渉、海外当局への提出書類の作成等を本邦の海外事務所に委任する場合が多いであろう。この場合でも、法務部門には、渉外事務所から提示された契約書等の問題点を企業独自のリスク管理の観点からチェックする仕事は残るものと思われる。その関与の程度に強弱はあろうが、法務部門がまったく関与せずに、渉外事務所に任せきりにすることは稀ではなかろうか。

4 企業内弁護士の関与

    以上述べてきた企業法務の仕事の内容をふまえ、これに対する企業内弁護士の関与の仕方によって、企業内弁護士の具体的な仕事の内容がどのようなものになるかを概観する。

    企業内弁護士がいかなる仕事に携わるかは、その採用目的によるものと思われるが、一般の従業員として採用された場合には、上記の仕事全般を担当する可能性が高いだろうし、職務ローテーションにより、一定期間、企業法務以外の職務に就いて企業法務と無関係な仕事をすることもあるだろう。

    他方、特に専門性の高い弁護士業務をするものとして採用されたり、いわゆる専門職として採用されたりしたような場合は、訴訟代理・訴訟管理、法律相談を中心とした中核的な仕事に携わることが多いであろう。訴訟業務においては、自ら代理人になって訴訟追行する場合もあろうが、代理人となることなく訴訟管理のみをする場合もあるだろう。

    ただし、弁護士としての能力発揮を期待されて採用された場合であっても、将来的な企業経営の参画を期待して、法律問題に限らない幅広い業務遂行を求める企業も多くなっているのではないかと思われる。

5  まとめに代えて

    企業内弁護士の仕事の内容は、ほとんど他の法務部門と異なることはないといえよう。異なるものがあるとすれば、企業内弁護士が訴訟代理人として裁判所に出廷したり、自らの名義で弁護士会照会をしたりする場合であろう。もっとも、このような弁護士しかできない仕事をどの程度企業内弁護士に委ねるかは、企業の考え方によって差が出てくるところであろう。

 

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