消費者契約法専門調査会のポイント(第16回)
1. 配付資料
参考資料2 仲裁法の施行状況に関する調査結果
2. 議事内容
3. 審議
(1) はじめに
内閣総理大臣から消費者委員会への諮問に先立ち、立法事実の調査等をしたことを経緯として追記すべきではないかとの意見があった。
(2) 見直しの検討を行う際の視点(第1)
「また、法施行後の裁判例や消費者生活相談事例の傾向を踏まえ」との文言について、裁判例はさほど多いとは言えないのではないかとの意見があった。また、「消費者契約法は、個別の業法との関係では、消費者契約に関する一般法に当たる。」との文言について、個別の業法には民事ルールはあまり定められていないので「一部の個別の業法との関係では」と修正したほうが良いのではないかとの意見があった。
(3) 総則(第2)
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(ア) 「消費者」概念の在り方
1-イ「⑤については、事業者間の格差の問題は、事業者間取引を規律する法律において考えるべきであり」との文言について、事業者間取引を規律する法律に民法を追記してほしいとの意見があった。
1-ウ「実質的には消費者の集合体に過ぎない団体と事業者との間の契約など、現行法では事業者間契約となるが」との文言について、「実質的には消費者の集合体に過ぎない団体と事業者との間の契約など、現行法を形式的にあてはめると事業者間契約となるが」と記述する方が正確ではないかとの意見があった。 -
(イ) 消費者の努力義務
4-ウ「情報通信技術の発達により…法第3条第2項は…意義があると考えられる。よって、現時点では、同行の規定を削除しないこととするのが適当である。」との文言について、必ずしも多数意見ではないので、当該記載を見直し、その一部を4-イに移すべきではないかとの意見があった。
(4) 契約締結過程(第3)
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(ア) 1-ア「不特定の者に向けた広告等を見て契約を締結することも多くなり」との文言について、従来から広告等を見て契約を締結することはよくあったことで表現を修正すべきではないかとの指摘があった。
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(イ) 1-ウに関し、広告と勧誘を明確に画する必要があるのではないかとの意見があった。
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(ウ) イーウに関し、誤認類型の分類に関し、補足的に説明した方が分かりやすくなるのではないかとの意見があった。
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(エ) 1-ウ「事業者が特定事業者との間で特定の取引を誘引する目的をもってした行為については」との文言について、ややわかりにくいとの意見が複数あった。この点に関し、「事業者が特定事業者と消費者との間でのある特定の取引を誘引する目的をもってした行為については」と修正した方がよいのではないかとの意見があった。
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(オ) 2-ウ「財産上の利得に影響しない事項が問題となる典型的な事例は、痩身効果や成績の向上その他の商品・役務の客観的な効果・効能が問題となるものであるが、これは現行法の不実告知として捉えられる場合もある」との文言について、まず断定的判断の提供で検討すべきと考えるべきではないかとの意見があった。
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(カ) 3-(1)-イ及びウに関し、「不実告知型」と「不告知型」が明確に区別できるかどうかが問題と思うとの意見があった。なお、この点に関し、事務局から「先行行為」との関連性が強いものが「不実告知型」、関連性が弱いものが「不告知型」と整理できるのではないかとの説明があった。
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(キ) 3-(1)-ウに関し、故意要件の削除と事業者の免責事由の規定の創設はセットで検討してほしいとの要望が出された。
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(ク) 3-(2)-ウ「先行行為要件を削除することが考えられるが」との文言について、反対意見があった。
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(ケ) 4-ウに関し、「さらに…引き続き検討すべきである。」までを削除してほしいとの意見、「消費者が当該消費者契約の締結を必要とする事情に関する事項」を法第4条第4項所定の事由に追加することについて「事業者ヒアリングをしたうえで検討」としてほしいとの意見等があった。
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(コ) 5-(1)-ウ「威迫」は「威迫等」ではないかとの質問に対し、事務局から「等」はあえて外しており「威迫」であるとの回答があった。
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(サ) 5-(1)-ウに関し、執拗な電話勧誘については私生活上の平穏を害するものであるという視点から、この点に関する追記をしてほしいとの意見があった。
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(シ) 6-ウ「それを知ることができた場合にも取消権を認めるべきか否かについても併せて検討すべきである。」との文言について、反対意見があった。
(5) 契約条項(第4)
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(ア) 2-(1)-ウ「特に消費貸借における期限前弁済については、実質的に契約を終了させる点で契約の解除の場合と差異がなく…」との文言について、レンタルの延滞料や賃貸借契約の損害金等を例示として追記してはどうかとの意見があった。
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(イ) 2-(2)-ウに関し、やや論理に飛躍があるのではないかとの意見があった。また、「平均的な損害の額が立証されれば、それから当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を推認することとなるが」という文言について、「…推認しうる場合があるが」と修正した方が正確ではないかとの意見があった。
さらに、「同種事業者に生ずべき平均的な損害の額を当該事業者に生ずべき平均的な損害の額と推定する規定を設けることを検討すべき」という文言について「当該事業者に生ずべき平均的な損害の額と推定する規定などを設けることを検討すべき」と修正した方がよいのではないかという意見や、同文言に関する脚注51について、法定証拠法則のようにも読める説明となっているが法律上の推定ではないかとの意見があった。 -
(ウ) 4に関し、不当条項の類型の追加として、今回検討しているものをなぜ取り上げたのか、理由を書いた方が良いのではないかという意見があった。
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(エ) 4の柱書き「法第10条の要件は抽象的であるため、契約当事者の予見可能性を高める等の観点から」という文言について、もう少し踏み込み、紛争予防機能という観点や第10条の具体化としての不当条項の類型化という点を加筆した方がよいのではないかという意見があった。
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(オ) 4-(1)-ウ-①「例外なく無効とする規定を設けることが考えられる。」との表現はもう少し慎重に検討願いたいとの意見があった。
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(カ) 4-(4)ウに関し、4-(1)から(3)までの書きぶりと異なるがなぜかとの質問に対し、事務局から4-(1)から(3)までと同様の趣旨を含意しているが、表現について検討するとの回答があった。
(6) その他の論点(第5)
1-ウ(条項使用者不利の原則)に関し、定型約款の範囲は広くないのではないか、定型約款に限定しないという考え方も検討させるべきではないかとの意見があった。
(7) まとめ
検討に当たっては、事業者へのヒアリングの結果を反映させていく旨を追記願いたいとの意見があった。(欠席した委員からも文書で同趣旨の意見提出があった。)