◇SH0406◇銀行員30年、弁護士20年 第54回「継続する」 浜中善彦(2015/08/25)

法学教育そのほか未分類

銀行員30年、弁護士20年

第54回 継続する

弁護士 浜 中 善 彦

 

 生活の中に、仕事以外の目標をもって何かをしようとする場合、大事なことは継続するということである。目標が何であれ、大事なことは、自分で決めた計画や習慣を継続することである。仮に資格取得が目標であれば、思いついたように勉強したり、なんとなく勉強しなかったりということがあってはならない。スランプの場合もあるかも知れないが、それでくじけるようなことがあってはならない。そんなときは、あまりムリをしないことである。しかし、その場合でも、生活習慣を崩してはいけない。どういう状況であっても、生活のスタイルは維持する覚悟が必要である。
 資格取得の場合、目標は決まっているのであるから、その目標に向かって、ひたすら計画に従って、規則正しい生活を継続することである。学生の場合も、法科大学院へ通っているうちに当初の目標を忘れて、ただ、講義に出席することだけが日課になってしまっているとしか思えない学生がいる。これではダメである。まして、社会人の場合、司法試験合格を目指すのであれば、何はともあれ、継続する意志がなければならない。健康のためにいいからジムに通うとか、定年後に備えて資格を取ろうとか思うサラリーマンは少なくない。しかし、それを継続できる人は少ない。

 

 継続することの重要性は、何も、資格試験受験の場合だけではない。大事なことは、合格したあと、あるいは、不幸にして不合格になったあとも、受験時代に身につけた生活習慣を維持、継続することである。朝型の生活習慣、時間管理の習慣、継続的に勉強する習慣等は、何も受験時代に限られるものではなく、一生続けるべき習慣である。受験時代を特別な期間と考えるのではなく、人生の大事な過程と位置づけ、その期間に身につけた生活習慣を維持することが大事である。そうすれば、不幸にして不合格になった場合でも、きっとその後の人生にプラスになるはずである。
 ところが、合格して弁護士になったとたんに、折角身につけた生活習慣を放棄してしまう人が少なくない。たとえば、合格したとたんに、基本書を読む習慣をなくしてしまう場合がそうである。忙しいなどというのは単なる言い訳に過ぎない。受かったからといって、たちまちそんなに忙しくなる訳はない。司法試験に合格したということは、目標を達成したことではない。やっと、新たなスタート台に立ったということである。司法試験受験時代の経験は、それをその後の生活に生かしてこそ意味がある。

 

 継続するためには、例外を作らないことである。毎日の生活のなかでは、仕事の都合や人付き合いで予定外の出来事が起きたり、体調がすぐれなかったりなど、色々なことがある。そういったとき、それを理由に早朝の勉強をしない、業後のジム通いをパスするなどしてはいけない。理屈をつけて楽をしようと思えば、理由はいくらでもある。しかし、いったん楽をすると、それが習慣になって、せっかく目標を持ってやろうとしたことが駄目になってしまう。
 銀行員30年の間、資格取得に挑戦した人は何人かいた。今にして思うと、忙しい中で資格取得を目指すということは、それだけでもなかなかできることではない。しかし、実際にそれを実現した人はきわめて少ない。税理士試験を志した人、ジム通いを始めた人などいろんな人たちがいたが、半年もすると、もうやめましたということだった。誠に残念なことだと思う。

以上

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