◇SH0577◇個人情報保護委、基本方針の一部変更 大櫛健一(2016/03/01)

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個人情報保護委、個人情報の保護に関する基本方針の一部変更

岩田合同法律事務所

弁護士 大 櫛 健 一

 政府は、平成28年2月19日、個人情報の保護に関する基本方針(以下「基本方針」という。)の一部変更(以下「本件変更」という。)を閣議決定した。

 個人情報の保護に関する法律(以下「個人情報保護法」という。)は、政府に対して、基本方針を定めることを義務付けている(個人情報保護法7条1項)。基本方針は、個人情報の保護に関する施策の推進の基本的な方向及び国が講ずべき措置を定めるとともに、地方公共団体、個人情報取扱事業者等が講ずべき措置の方向性を示すものとされる(基本方針前文参照)。

 本件変更は、個人情報保護法及びいわゆるマイナンバー法[1]が、平成27年9月に改正され、同法の一部が平成28年1月1日に施行されたことを受けたものである。

 主たる変更内容としては、①個人情報保護法において「個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであること」が明記されたこと(同法1条)、及び、②個人情報保護委員会が設置され、個人情報保護法に係る消費者庁の所掌事務が同委員会に移管されたこと(同法5章参照)の2点が挙げられる。

 まず、上記①の変更点としては、改正後の個人情報保護法は「個人情報の適正かつ効果的な活用が新たな産業の創出並びに活力ある経済社会及び豊かな国民生活の実現に資するものであること」の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とするところ、個人情報保護委員会及び各省庁は、事業者及び国民に対して、実際の個人情報の取扱いにおいても、かかる目的が十分反映されるよう広報・啓発に取り組むものとされた(基本方針2項⑷号)。

 次に、上記②の変更点として、個人情報保護委員会は、 (a)上記取り組みのほか、(b)大規模な個人情報の漏えい等個別事案の対応事例の蓄積・整理を行い、必要な情報を各省庁に提供すること(基本方針1項⑵号①)、(c)関係行政機関から個人情報の保護に係る報告を取りまとめ、その概要を公表すること(同⑤)、及び、(d)地方公共団体に対して、公表資料や苦情処理マニュアル等の情報提供を図るとともに、各窓口の活用により個別の相談事例から得られる知見を蓄積し、その共有を図ること(同3項⑶号)等について、消費者庁から移管を受けたことが明らかにされている。

 以上のとおり、本件変更は、個人情報保護委員会及び消費者庁をはじめとする各省庁の取り組みに関するものを内容としており、必ずしも民間事業者に対して直接に影響を及ぼすものではない。

 しかしながら、別途行うものとされているマイナンバー法の全面施行に向けた基本方針の見直し(基本方針1項⑴号)に先立ち、政府の考え方の一端を示すものとして参考になるといえよう。

 なお、消費者保護委員会は、本件変更とともに、「個人情報保護に関する法律・ガイドラインの体系イメージ」を公表していることから、併せて以下のとおり紹介する。

 


[1]  行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律

 

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