◇SH0590◇インドネシア:ネガティブリスト改正に向けた動き 前川陽一(2016/03/10)

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インドネシア:ネガティブリスト改正に向けた動き

長島・大野・常松法律事務所

弁護士 前 川 陽 一

 

 2016年2月11日、インドネシア政府は、投資の活性化による景気浮揚を狙った経済政策パッケージの第10弾として、ネガティブリスト改正に向けた基本方針を公表した。ネガティブリストとはインドネシアにおける投資規制業種の一覧であるが、日系企業を含む外国資本にとっては、特定の業種に対する投資の可否、さらに投資可能な場合の出資比率その他の制限の有無を判断するうえでまず参照すべきリストと位置付けられる。現行のネガティブリストは、ユドヨノ政権時代に大統領令2014年第39号として定められた。今回の基本方針に基く改定が行われた場合、ジョコ・ウィドド政権が定める初めてのネガティブリストとなる。今回の公表は改正されるすべての業種を詳述したものではないが、現政権の外国投資に対する積極的な姿勢を示すものと評価されている。

 外国資本に対する出資比率制限が緩和される業種として今回公表されたものを一覧化すると以下のとおりである。

現行
改定後 業種
33% 67% ディストリビューター、倉庫
100% 冷蔵保管
49% 67% 職業訓練、旅行代理店、ゴルフ場、空運サポートサービスなど14業種
100% スポーツセンター、フィルム加工施設、クラムラバー産業、バー、カフェなど8業種
51% 67% 私設博物館、ケータリングサービス、MICE(研修会議・報奨旅行・国際会議・展示会)サービスなど10業種
100% レストラン
55% 67% 工事金額100億ルピア超の建設ビジネス・コンサルティングサービスなど19業種
65% 67% 通信サービスと統合した通信網の運営など3業種
85% 100% 薬品原料産業
95% 100% 高速道路事業、通信装置試験機関設立、無害廃棄物の管理・廃棄など5業種

 上記に加え、これまで外国投資に閉鎖されていた20業種について一定比率までの出資を認めることにした。対象業種として、高圧・超高圧の電力利用設備の据付け(改定後49%)、陸上旅客運送(同49%)、保健サポートサービス(同67%)及び映画配給を含む映画産業(同100%)が掲げられた。また、電子商取引(いわゆるマーケットプレイス)は、投資額1000億ルピア超の事業について外国資本に100%開放すると明記した。  

 一方で、零細中小企業保護の観点から制限を強化する業種も明らかにされた。たとえば、現行のネガティブリストで外資比率が最大55%まで認められている建設ビジネス・コンサルティングサービスのうち工事金額が100億ルピア以下の建設ビジネス・コンサルティングサービスは零細中小企業・協同組合のために留保されることとなった。また、現行のネガティブリストで零細中小企業・協同組合に留保されている建設サービスの工事金額の基準額が10億ルピアから500億ルピアに引き上げられた。逆に言うと、外国資本が出資可能な建設サービスは工事金額が500億ルピア超の事業でなければならないこととなる。

 今回の公表は経済政策パッケージのひとつとして包括的な形で規制緩和対象業種が示されたが、ここで明示された業種以外についても政府から断片的な情報が伝えられているところではある。もっとも、新たなネガティブリストが大統領令により制定されるまでは今回の公表を含め政府草案に過ぎない。新たなネガティブリストは2016年3月あるいは4月中に制定される見通しである。

 

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